レガメ『明治日本写真帖』 最近のイメージ関連本より

フェリックス・レガメ『明治日本写生帖』(2019年5月、林久美子訳、稲賀繁美解説、角川ソフィア文庫)。 著者はフランス人の画家。1876年と1899年に来日している。1度目は、エミール・ギメの宗教調査旅行の同伴、2度目は図画教育視察官として。 この本は、1905年に刊行されたLe Japon en images の全訳。たくさん図版が入っている。 おそらく元版は写真網版で、図版はもっとクリ…

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三色版

 『戦争文学』(明治37年9月、育英舎)第壱年九月の巻。 口絵は、「捷報来る」。画家は内藤三郎。    女学生が号外を手にしている。背景にははちまきに国旗を立てた号外売りが走っている。 時期的に考えると日本海海戦の勝利の知らせが届いたということだろうか。  ところで、絵の右下に「辻本写真製版所製版印刷三色版」とある。三色版はカラー印刷の手法で、写真網版によって赤・青・黄の三版をすり重ね…

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子どもの詩画集 『人形の耳』

 古本海ねこの目録を取り寄せて見つけたのが、平岩由伎子(三歳)『人形の耳』(昭和5年、梓書房)。 *右開き縦組みだが、箱の口は左側にあいている。 平岩米吉は動物学者で、雑誌『母性』や『子供の詩研究』などを発刊した。  『人形の耳』は、平岩の娘が3歳になるまでの折にふれてのつぶやきを自由詩ととらえて筆録したもの。 装幀と挿絵は恩地孝四郎。 *『古本海ねこ古書目録 11』より。  詩を1つ紹介し…

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静陵女史『処女の良人観』

 静陵女史『処女の良人観』。明治35年5月、人文社刊。  国会のデジコレにあがっている。著者についてはわからず。  中に、包紙が挟まっていた。  最後の方に「芸妓系の良人観」という一節があって、芸妓の理想の夫は、その「拝金主義」から「富豪」ならざるを得ず、とある。  *夏越しの古本市、あとまつりで。たぶんキクオ書店。ワンコイン。これは某大学の廃棄本であるが、他にも同様の明治本が安…

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JAZZというリンゴ

 今年もニュージーランドのJAZZという名のリンゴの季節がやってきた。  日本のリンゴよりずっと小さいが、昨年はじめて食べて、今年は楽しみにしていた。  昨年は7月8月にはもう姿を消していた。*去年は7月末に購入していた。

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明治中頃の色刷り印刷

 民友社の青年叢書の第二巻『遠征』(明治28年6月)。地理的に「新紀元」の日本を概説している。 色刷りの地図がたくさん付いているので購入した。印刷の色刷りの見本によいと考えたのだ。 しかし、帰宅してあらためると、どうやら印刷ではなく手彩色のようだ。色鉛筆か水彩か。後者のようでもある。 購入者が、まめな人で丁寧に彩色したのか。あるいはまた、販売した全冊について手彩色を行ったということはあるのだろう…

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一條成美に光があたる

◇大塚英志氏の近刊(7月)、『ミュシャから少女まんがへ 幻の画家一条成美と明治のアール・ヌーヴォー』(角川新書)。図版250点というので、厚めの新書になるのだろうか。編集者としての鉄幹や一條に光をあてるものらしい。楽しみである。 ◇小展示の準備で、一條成美が表紙を描いている『新声』を探すがなかなかない。第7巻2号(明治35年2月)を2冊、入手したがその一冊。蔵書印がないといいのだが。  前に…

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服部亮英『漫画漫文もぐらもち』

 服部亮英『漫画漫文もぐらもち』(大正14年3月10日、紅玉堂書店)。 絵入り本を集める中で見つかったもの。 「パラソル一代記」。N伯爵夫人から小間使いのM子に結婚祝いとして与えられたパラソルの一生。 仕立て直すが、流行遅れとなり、また、はやりにあうようになって久しぶりに取り出したら、ネズミに食われていたというオチ。  作者服部亮英のことがわからなかったが、ひょんなことから判明。 『清水勲・猪…

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国木田独歩「二人の旅客」

 図版は、金子薫園編の『小品一千題』(大正12年6月19版、初版は大正7年3月、新潮社)に小品の見本として掲載されている国木田独歩「二人の旅客」。本文では「旅客」に「たびびと」のルビがついている。  倒れた旅人と、その窮地を救った旅人。しかし二人の旅人は、谷底に転落する。 誰も知ることがない二人の運命が語られた小品。  ところで、改訂版の「国木田独歩全集」の索引にこの作品は見出されない。全巻…

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『漱石全集を買った日』

 山本善行×清水裕也『漱石全集を買った日』(夏葉社)。届いた日に一気読みした。  正式の表題は長くて「古書店主とお客さんによる古本入門」という一節がくっついていて、そのとおりの内容。  山本氏が、天牛新一郎さんと撮った写真が巻末に出ている。天牛新一郎さんは、300円の本を買っても、3000円の本を買っても、いつも同じ調子で、「ありがとうございっす」と独特の調子で言ってくれるのだった。山本氏の…

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宇野浩二『芥川龍之介』

 宇野浩二『芥川龍之介』(昭和28年5月、文藝春秋新社)。装幀、鍋井克之。  中公文庫の2冊本で2回読んでいる。宇野の語り口についひきこまれて200頁読んでしまった。  これが元版と思うが、口絵写真を紹介しておこう。  キャプションをおこしてみると「大正九年秋大阪での文藝講演会のあと堀江の茶屋に於ける小宴/右から廣島晃甫(33)菊池寛(33)芥川龍之介(29)宇野浩二(30)」とある。…

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今年(2019年)の桐の花

 4月に見た時は、寄生しているツタのような植物のおかげで大丈夫かなと思ったが、案の定、一枝しか開花していなかった。(下図の背景の左のほうにその状態が確認できる。)  驚いたのは、道路側に若木が育っていて、元気に開花していることだ。  もしかすると、背景の桐の木が危機を感じて種を散らしたのだろうか。  昨年の状態は過去記事《今年の桐の花》で確認できる。若木があったかどうかは記憶にない。  …

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