「日本近代の青春 創作版画の名品」展

 和歌山県立近代美術館で、「日本近代の青春 創作版画の名品」展が、10月24日まで開かれている。11月21日から来年1月10日までは、宇都宮美術館にまわる。版画を収集している和歌山県立近代美術館の収蔵品を中心にして、創作版画の近代史をたどった特色ある展覧会である。  図録『日本近代の青春 創作版画の名品』には、次のような論考が収められている。雪山行二「創作版画に寄せて」寺口淳治「つなぐひと…

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中澤弘光『回想の旅』(つづき)

 さて、『回想の旅』には、「黒田清輝先生」という文章が収められていて、次のようなことが記されている。 今からもう二十年前になつた。先生は二度目の留学から帰つて来られて、大元気の頃であつた。杉浦非水、矢崎千代治、和田三造、櫻井知足諸氏と私とが、食客、書生として、先生の厄介になつてゐた。私達の役目は何も無い、アトリエの掃除くらいなものであつた。  右の壁一面は、智情意の三枚で塞がつてゐた。金箔…

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中澤弘光『回想の旅』

 中澤弘光『回想の旅』は、内外への紀行文を収めている。昭和19年2月、教育美術振興会刊。  中扉がおもしろい。モデルを見て制作中の画家の写真である。画家は、中澤弘光その人のようである。モデルの装束から類推すると、制作中の絵画は、明治43年の《まひる》であろうか。  

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百字文

 伊藤銀月の『百字文選』正続という小型本を手に入れた。正編は、明治37年5月、如山堂書店刊。続編『続百字文選』は、明治37年10月、如山堂書店刊。  伊藤銀月(1871-1944)は、新聞『萬朝報』の記者として活躍。百字文は、新聞読者が応募した短文で、『百字文選』は、秀作のアンソロジーである。序文で、銀月は、百字文は、文章を書く修錬になり、、将来の大作のメモという意味を持つと述べ…

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