佐々木俊尚『キュレーションの時代』

 佐々木俊尚『キュレーションの時代』(2011年2月、ちくま新書)。 誰もが知っているような一次情報の真偽を、一個人が確認するのはほんとうはきわめて困難だ。佐々木氏は、コンテンツの真偽よりも、その情報の視座の信頼性の方が重要だと考えている。 つまり「事実の真贋をみきわめること」は難しいけれども、それにくらべれば「人の信頼度をみきわめること」の方ははるかに容易であるということなのです。 なるほどと…

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伝統版画vs創作版画(その2)

 五所菊雄氏の『木版画の世界』は、『明星』(1904年7月)に掲載された、創作版画の嚆矢とされる、山本鼎の《漁夫》の彫りを分析して、「小さな丸刀が自在に使われている」と指摘している。                 漁夫の着物の線が、小さな丸刀で彫ったものだと推定できる。祖田浩一『匠の肖像』(1988年3月、朝日新聞社)は、伊上凡骨の伝記小説であるが、山本鼎の《漁夫》につい…

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メディア教育のテキスト

 必要があって、英語圏のメディア教育のテキストを何冊か集めたことがある。 よくできていると思ったのは、   Gill Branston and Roy Stafford,The Media Student's Book.2003,Routledge.  所持しているのは第3版で、表紙には、9.11の映像が取り入れられている。第一部はキーコンセプトで、ナラティブやイデオロ…

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プロレタリア芸術とアヴァンギャルド

 『立命館言語文化研究』(22巻3号、2011年1月、立命館大学国際言語文化研究所)。 2010年3月に開催された「シンポジウム・プロレタリア芸術とアヴァンギャルド せめぎあう「場」と「身体」の1920-30年代」に基づく論文が収められている。関連論文は下記のとおり。回覧雑誌『密室』の画文共鳴―象徴主義とモダニズムの通路をめぐって―  木股知史 「美術」の進出―人形座に見る大正期新興美術運…

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アバの虎柄

 THE WINNER TAKES IT ALL(2002,polydor)というアバのドキュメントを見ていたら、衣装もすごく派手だったというところがあり、Mamma Mia をうたうとき、アグネタとアニフリードは虎柄の、超ミニの衣装を着ている。衣装を作った人が出ていて、日本か中国にいるとき、アニフリードが、「なにか虎みたいなものつくってよ。なぜって、時々虎みたいな気分になるから」といったそうだ…

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もりさがる

 「もりさがる」は、個人的な造語であり得ない言葉だが、「もりあがる」の反対で、ある種の物語を指すときにひとりで使っている。「へこむ」ことだが、マイナスの方向に「もりあがる」という構造を持った物語を評する時に使う。  映画なら、終了後、ふかくシートに沈んでいかざるをえないような感じの作品。ことわっておくが、だから駄作だというのではない。たとえば、黒澤明の『八月の狂詩曲』(1991年)は、しば…

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伝統版画vs創作版画

 さて、昨日から五所菊雄氏の『木版画の世界』を読んでいるが、「伝統版画と創作版画」という章があって、恩地孝四郎について次のような指摘がある。 恩地さんは、ことごとく伝統木版では嫌われ失敗とされていた技法を積極的に取り込んで作品を作っています。 わざと失敗すれすれの技法をそれでも恩地さんは楽しむように、また伝統版画の鮮やかさの逆をいって、実験的ながら面白い作品を次々に生み出していきました。 恩地さ…

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サビ彫り問題

 とある駅から、版画教室の看板が見え、行ってみようかと思ったことはあるが、不器用で肩凝らしの私にできるものだろうか、と思いつつ、今日にいたっている。版画の勉強するには、自分でやってみることも必要かなとは思うのだ。  ネットで見つけて、注文した本がとどいた。五所菊雄著『木版画の世界 第二版』である。実作者の書いた本がないかとさがしていたらたまたま見つかった。関心のある方は、五所氏のHPにおも…

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赤い靴

 洋書販売サイトの「赤い靴」のHPを久しぶりに訪ねると、ブックサーチサービスが終了していた。これまでは、検索して、目当ての本が複数ある場合は、選択して注文することができた。 今後は、メールで書名を伝えて、注文することになるのだろうか?  明治期に読まれた洋書を何冊か注文したことがあり、重宝していた。某大手では、あまり古い本は引っかかってこないことが多いのだ。  かわりにブログが始まっ…

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