きのうのおまけ

◇きのうのおまけ、『本の旅人』9月号。 ◇ミニ古ツアを試みるも、開いていたのは一軒のみ。1980年の『坂本繁二郎展』図録、中内敏夫『軍国美談と教科書』(岩波新書)  坂本繁二郎と三木露風の交流について記した文献はあるが、装幀についてどう考えていたかは不明。藤島にしても、坂本にしても油彩画と、装幀、挿画の感触はずいぶんちがう。応用美術、装飾美術としての装幀、挿画は、絵画とは別のものと考…

続きを読む

「朦朧(もうろう)」の時代

 佐藤志乃『「朦朧」の時代――大観、春草らと近代日本画の成立』(2013年4月、人文書院)。  日本美術院の横山大観、菱田春草の輪郭線を明確に入れない描法は、世間から「朦朧体」と呼ばれた。そのことは知っていたが、この本は、西洋画や文学との相互関係も視野に含めながら、「朦朧」という言葉がその当時、どのような意味合いで使われたかを、豊富な文献からの引用を重ねながら明らかにしていく。  専…

続きを読む

雑録

◇通りがかりのブックオフが、半額セール。次の3冊で337円。  ケレーニイ『ギリシアの神話 神々の時代』(中公文庫) 岡本かの子『散華抄』(中公文庫) 辻邦生『風の琴』(文春文庫)  『風の琴』は絵画小説。「Ⅰ.十二の肖像画による十二の物語」「Ⅱ.十二の風景画への十二の旅」の二部構成。絵画のカラー印刷のため上質紙使用。文春文庫にしては劣化していない。 ◇911のテロの犠牲者には…

続きを読む

写真画報

 博文館の雑誌『写真画報』明治40年2月号(第2巻2号)。  表紙、「結婚の前後」ともに尾竹国観。多色刷り石版である。  明治40年代には、商業誌に積極的に多色石版が使われていた。まだ、亜鉛を使ったジンク版にはなっていなかったと推測される。 〔付記〕表紙女性のコートや、男性のズボンは、霧を吹いたような感触になっている。砂目というのだろうか。ロートレックのポスターにも、…

続きを読む

三重吉全作集『小猫』

 さて、三重吉全作集第3巻の『小猫』。大正4年5月、発行所は「鈴木三重吉方」で、発売は「春陽堂」となっている。  盛厚三『木版彫刻師伊上凡骨』(ことのは文庫)におしえられて、『鈴木三重吉全集別巻』(1982年7月、岩波書店)の津田青楓宛書簡を見る。  大正4年4月21日、津田青楓宛(京都市外深草村大亀谷桃陽園)の書簡。  小猫用表紙落手。大に面白いが、あの清高な感じは「小猫」の内容に対…

続きを読む

南方紀行

       佐藤春夫『南方紀行』(大正11年4月、新潮社)。     目次の前に次のような記述あり。 装幀、意匠             著        者 彫刻摺り                 伊上凡骨     布装であるので、摺りはどんなふうにしたのか。楼閣など細かい部分も鮮明に出ている。   〔付記〕版画家の五所菊雄さんからメールをいただい…

続きを読む

『風俗壊乱』反響(その27)

 出版史研究の牧義之氏の書評を紹介する。「〔書評〕ジェイ・ルービン著(今井泰子、大木俊夫、木股知史、河野賢司、鈴木美津子訳)『風俗壊乱 明治国家と文芸の検閲』」は、『論究日本文學』第97号(2012年12月、立命館大学日本文学会)に掲載された。  出版史研究を専門とする研究者の書評であり、評価とともに、不十分な点についての指摘を受けた。少し詳しく紹介しておきたい。  本書の位置づけに…

続きを読む

『風俗壊乱』反響(その26)

 鈴木貞美氏のサイトに、ジェイ・ルービン先生の紹介記事(「国際共同研究の25年⑨」、『産経新聞』2013年6月27日夕刊)がのっている。  なお、出版史研究の牧義之氏の書評を紹介するつもりであったが、打ち込んだテキストが消去されてしまったので、やりなおすつもり。

続きを読む

雑録

◇各氏のブログで、海文堂の閉店を知る。『田中恭吉 ひそめるもの』を面陳してくれた書店であり、元町に行く理由となった店でもあるのだが。  個人的感想だが、書架がもっと高ければいいのに、と何度か思った。迷って、購入しないこともけっこうあった。今回の閉店には、顧客をネット通販にもっていかれたというだけではない、本の未来にかかわる暗澹としたものを感じる。 ◇先日のおまけ。『本の旅人』8月号。…

続きを読む

本屋の娘

 いまは競馬史のぶ厚い本を出しているTさんと、その仲間たちと、むかし(若い頃だ)、えんえんとしょうもないことを語っていたことがある。 そのとき、好みの女性のタイプとして、Tさんは、宮本信子、山口果林の名をあげたのだった。まあ、小島慶子のラジオ番組でいえば、ふたりは〈同じ箱〉に入るということだろう。かたりあったことの中味はほとんど忘れたが、そのことだけは鮮明に覚えている。 そのとき、なるほどと思う…

続きを読む