赤い本

 黒岩比佐子の『忘れえぬ声を聴く』(幻戯書房)を読んでいると、『武士道』に偽装された『麺麭の略取』を古書即売会で購入したことが書かれている。このことは、『パンとペン』に詳しく書かれていたことを思い出した。ハードカバーが見当たらないので、講談社文庫版を見てみると、「第六章 売文社創業」の「『麺麭の略取』偽装本」という節に詳しく記述されている。以下、黒岩の記述を紹介してみよう。  表紙は「朱色に近…

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版画の力

 和歌山県立近代美術館の企画。  講演がおもしろそうである。 講演会 「版画 このマージナルなもの」 3月2日(日)14時よりホールにて 講師:滝沢恭司(町田市立国際版画美術館学芸担当係長) 講演会 「刷りものの愉しみ」 3月16日(日)14時よりホールにて 講師:熊田司(和歌山県立近代美術館館長)

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創作版画誌『月映(つくはえ)』100年

 『月映(つくはえ)』は大正3年に、洛陽堂から出された創作版画の雑誌。  恩地孝四郎、藤森静雄、田中恭吉の作品が掲載された。  解説を『現代詩大事典』(三省堂)から引用する。 月映〈つくはえ〉 恩地孝四郎、田中恭吉、藤森静雄によって創刊された詩歌と創作版画の雑誌。一九一四(大3)年九月から翌年一一月までに洛陽堂から七輯が刊行された。自刻自摺の創作版画に取り組んだ田中の熱意が恩地や藤森…

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田中恭吉とホドラー

 先日、スイスの画家フェルディナンド・ホドラー展の予定があることを記したが、じつは、ホドラーは、『月映(つくはえ)』の版画家田中恭吉と関連がある。  過去記事「田中恭吉文献121215」参照。  恩地孝四郎の「田中恭吉の芸術」という文章にホドラーの名が出てくる(井上芳子氏の教示による)。この文章は、もとは田中恭吉の遺作集のために書かれたものであるが、玲風書房版『田中恭吉作品集』に収録され…

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ホドラーとヴァロットン

 今年は、日本とスイスの国交樹立150周年で、それを記念して下記のような展覧会がひらかれるようだ。 バルテュス展 2014年4月19日〜6月22日 :東京都美術館 2014年7月5日〜9月7日 :京都市美術館 ヴァロットン展 2014年6月14日〜9月23日 三菱一号館美術館 ホドラー展 2014年10月7日〜2015年1月12日 :国立西洋美術館 201…

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編集者が語る

 『ぼくの創元社覚え書』の著者高橋輝次さんがNHK第二放送に出ている。  放送局のHPから引用させていただく。 テーマ:編集者が向き合う“日本語”の顔 出演 :高橋 輝次(フリー編集者、元・創元社編集部) 長年、編集者として本作りに関わってきた高橋氏の貴重な経験を具体的に話していただく。 本作りの中での、編集者としての、言葉との格闘・葛藤、喜怒哀楽などを中心に。 ※…

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ブログの行く末

 これまで、月に12,3回は記事をあげてきたが、事情あって、これからは、そう多くは更新できない。  いっそのこと、すべての記事を削除して、ブログを停止することも考えたが、少し猶予をおくことにした。  初心に戻って、研究関連の情報を、回数は少なくとも、あげていこうと思う。即興のおもしろさはなくなるが、ある程度計画して記事を作っていきたい。田中恭吉関連の展覧会の情報などは今まで通り、あげていこう…

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香山小鳥展反響

《Mucha-holic》さんが、昨年の和歌山県立近代美術館の香山小鳥展の感想を記している。ここ。 田中恭吉の版画への関心に影響を与えたのが香山小鳥。 小鳥の親戚の娘に恭吉は恋をした。この不幸な恋の顛末について、田中恭吉は、回覧雑誌『密室』第2号(1913年5月)に、日記や書簡を摘録した「二十一日間」という文章を寄せている。末尾にまとめられた歌から何首か引いておこう。  …

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