あれとこれ 『三四郎』と熊谷守一

 夏目漱石の『三四郎』第3章には、鉄道で轢死した女性を三四郎が目撃する場面がある。 五、六間行くか行かないうちに、また一人土手から飛び降りた者がある。―― 「轢死じゃないですか」  三四郎は何か答えようとしたが、ちょっと声が出なかった。そのうち黒い男は行き過ぎた。これは野々宮君の奥に住んでいる家の主人だろうと、後をつけながら考えた。半町ほどくると提灯が留まっている。人も留まっている。人は灯…

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版画の復刻

『浮世絵「名所江戸百景」復刻物語』(監修小林忠、東京伝統木版画工芸協会編、2012年1月、芸艸堂)という本を先日見つけた。広重の「名所江戸百景」を、現代の職人さんが復刻したプロセスを記録した本で、浮世絵木版の基礎知識をえることができる。 板目がわかるように強くバレンで摺るのが、板目摺だそうだが、月映展のチラシに使われた藤森静雄の《夜》の空の部分には、板目がみえる。機械摺でも、…

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『版画礼讚』 摺屋が強い

さて、先日購入した『版画礼讚』(大正14年3月、稀書複製会編)。「例言」に、「本書の題名を『木版印刷の絵画及び書籍の礼讚』の略称と見做して戴きたい」とあり、収められている「頽廃しつゝある我が木版術」という文章がおもしろい。収録文の作者名は「米山堂主人」であるが、目次では、「山田清作」となっている。明治期の木版のことを「古老の談話」によって示したいとある。 米山堂は、近世の木版本の復刻を手がけた…

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今日見つけた本

地球儀を買いに行って、向かいの書店で見つけた。 鈴木健一『古典注釈入門』(岩波書店)。 書きかけの学問ラノベ『日本注釈学院青春記』の作者である私としては見逃すわけにはいかない。 『枕草子』のパロディ『尤之双紙』の報告に当たっていた上級生の代理をつとめることになって、注釈のおもしろさに目覚めたという(「あとがき」)。 1960年生まれで、こんな書名の本を書くとは、勇気があると、ち…

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月映展特報

Iさん提供の写真より。宇都宮美術館の月映展。 和歌山の中野BCという酒造メーカーの協力で、展覧会を記念して、月映梅酒と月映うめジュレップ(ソーダなどで割って飲む、ノンアルコール梅酒)も発売されるそうだ。

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月映展カタログ

Iさん提供の写真を拡大。 月映展のカタログではないか。表紙は田中恭吉の月映マーク。 やっぱり白だ。ぶあつい。 中身紹介はしばし待たれよ。 〈付記〉コギトさんのフェイスブックに書影があがった。ここ。 真っ白ではなく、月を暗示する円が薄いグレーで入っている。月映マークは、銀の箔押しである。

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