復刻版から『月に吠える』を考える(つづき)

 さて、風教を害するとされた『月に吠える』所収の詩「愛憐」は、次のような作品である。 きつと可愛いかたい歯で、 草のみどりをかみしめる女よ、 女よ、 このうす青い草のいんきで、 まんべんなくお前の顔をいろどつて、 おまへの情慾をたかぶらしめ、 しげる草むらでこつそりあそばう、 みたまへ、 ここにはつりがね草がくびをふり、 あそこではりんだうの手がしなしなと動いてゐる、 …

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復刻版から『月に吠える』を考える

 明治大正期の文学書の複刻をまとめて行ったのが、「名著複刻全集近代文学館」のシリーズであった。このほど、その解説書である『名著複刻全集近代文学館作品解題 大正期』(昭和44年4月、日本近代文学館)を読む機会があった。冒頭に「「名著複刻全集近代文学館」刊行について」という文章があって、「日本近代文学館は、明治以来今日まで百年にわたる日本の近代文学の名著を初版により複刻し、「名著名著複刻全集・日本近…

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「『月に吠える』の論文―弥永徒史子さんの思い出と共に(後編)」を読む

 「古書通信」3月号。  後編は、川島氏が学生時代に、三茶書房でであった弥永徒史子の思い出を記す。  わたしに弥永徒史子の遺著『再生する樹木』の存在を教えてくれたのはYさんだったか。  弥永は、朔太郎の人間から発芽する植物のイメージについて、田中恭吉の版画《冬虫夏草》から得たのではないかと記している。  川島氏は、蒐書家と研究者の違いについて記している。    同号の山田奈々子「『金…

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『版画』の明治----印刷と美術のはざまで

和歌山県立近代美術館で「特集展示 『版画』の明治----印刷と美術のはざまで」。(2015年3月17日[火] ― 5 月24日[日]) 詳細はここ。 紹介に「江戸時代からの伝統がある板目木版、銅版に加え、文字の印刷には活版が、画像の印刷には木口木版、石版の技術が西欧からもたらされ、多様な技法による印刷物が発行されるようになりました。現在見ることができるそれらの印刷物は、機械に頼れない時代…

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大江健三郎の丸メガネ

神戸青年センターの古書市に出かけ、帰途、口笛文庫による。 大江健三郎が3冊買えた。900円である。 丸ぶちのメガネは、メガネ屋の店員さんによると、ラウンドというらしい。 わたしも、現在はラウンドである。 いきなりラウンドに移行するのではなく、ボストン系のふちを経て、ラウンドに移行した。 俳優の井浦新に似たメガネ店の店員さんは、黒のラウンドで、キャラが立っていた。 いつか…

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3匹のネコ

仕事の連波がやまず、肩も腰もガチガチになっている。 普段買わないものを買おうと思って、雑貨も置いている本屋、いや本も置いている雑貨屋で、ネコ3匹を買い求める。 おまけでもらった文春文庫の40年には、赤川次郎の幽霊シリーズの初版が30万部だったとある。 ある本を読んで面白かったので、大江健三郎の文庫を探すが、一冊しかない。

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百字文

雑誌「百字文」1巻2号、明治37年8月、百字文会本部。 百字文については、当ブログの最初の記事「百字文」を参照されたし。 百字文は伊藤銀月の考案。百字文会なるものを作って、直接購読を募っている。第一次「明星」の発想を参照しているか。 部立ては、「美文」「論文」「小説」「伝記」「紀行」「書簡」「日記」「写生文」「月旦」「雑文」。「雑文」の数が最も多い。 「投稿清規」に「絵画は…

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「『月に吠える』の論文―弥永徒史子さんの思い出と共に(前編)」を読む

『古書通信』2月号掲載の、川島幸希氏「「『月に吠える』の論文 弥永徒史子さんの思い出と共に(前編)」を読んだ。 これに関連しては、ブログ《読書日記》の「日本古書通信 2015年2月号 [1027号]」という2月24日の記事に、「フル本こそルフ本!`・ω・´)o:「納本刷」と流布本の関係(古本おもしろがりずむ:一名・書物蔵)」、「川島幸希「『月に吠える』の論文」が出た(漁書日誌 β.ver.)」…

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