月を愛でる

 さっき買い物に出ると、低い空にいい月が出ている。 月光を浴びて、月映え(月光を受けて姿が浮かび上がること)がおこるかもしれない。 創作版画誌『月映(つくはえ)』の誌名は、田中恭吉が提案した。その葉書は、月映展にも展示されている。  『月映』でドラマを作るなら、メインは恩地孝四郎、のぶ夫妻。戦争を生き延びて、創作版画の火を消さずに守る。香山小鳥や田中恭吉の早すぎる死が悲劇として描かれる…

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第4巻の仕掛けは

清家雪子『月に吠えらんねえ④』の仕掛けは,『みだれ髪』でした。  カバー・本文デザインは芥陽子。

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長田幹彦『ゆく春』と伊東深水

長田幹彦『ゆく春』(大正6年12月、玄文社。図版は7年の3版。)。装釘、挿絵は伊東深水。  伊東深水は美人画家として知られるようになるが、挿絵の仕事をしていたようだ。図録『深水』(2001年、朝日新聞社)の年譜(中島理壽編)によると、深水こと一(はじめ)は明治31年、深川の商家に生まれ、実家没落のため、看板店ではたらき、東京印刷の深川工場の活版工、石版工となり、明治44年には、東…

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河本亀之助小伝刊行される

かねてから、田中英夫氏が私家版「洛陽堂雑記」で探索を続けてきた河本亀之助(こうもと・かめのすけ)の伝記が刊行された。河本は、洛陽堂という出版社をおこし、竹久夢二のコマ絵画集や雑誌「白樺」、創作版画誌「月映(つくはえ)」などを刊行している。  版元は、大阪の燃焼社。書名は『洛陽堂河本亀之助小伝 損をしてでも良書を出す・ある出版人の生涯』。価格は、3200円+税。 とりあえず書影を紹介する。 …

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クラフト・エヴィング商會、月映(つくはえ)を語る

 作家・装幀家ユニット「クラフト・エヴィング商會」の吉田篤弘氏、浩美氏が『月映(つくはえ)』について語っている。記事。  「かすれ」への注目は、共感するところ。展示されている田中恭吉の版画《冬虫夏草》は、花の先端がかすれていて、そのことが明るい光を表現することにつながっている。この先端がインクでつぶれている刷りを見たことがあるが、和歌山近美所蔵のかすれバージョンのほうがよいと思った。  偶然…

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『洛陽堂河本亀之助小伝 損をしてでも良書を出す・ある出版人の生涯』

田中英夫氏の『洛陽堂河本亀之助小伝 損をしてでも良書を出す・ある出版人の生涯』が出たようです。版元燃焼社HPに紹介はなく、アマゾンにもひっかかりませんが、著者よりの情報なのでまちがいありません。  西川光二郎や、山口孤剣と行った社会主義者を追跡してきた田中氏の仕事としては、新しい展開をふくむものでしょう。明治大正期の出版史の空白が埋まります。

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伊丹ボックスと松本ボックス

事故で電車が遅れ、買った本をタリーズで読む。 スターバックスの今のかまえは、本を読む気になれない。(個人的意見です。) 伊丹十三はいい。小説『取り替え子』の塙五良はもっといい。 『伊丹十三の映画』(2007年、新潮社)。アメリカで通訳をつとめたベス・ケーリは、「「タンポポ」はストーリーが面白くて、ユーモラスなところがたくさんあったので、アメリカではとても人気がありました。」と語っ…

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全国書房版『私』

3年ぶりに訪ねた古書店に谷崎本がたくさんあった。 これは昭和22年刊の『私』。箱の紙の感触が気になった。 背文字の銀は鮮やかである。 作品のセレクトもおもしろい。 100円という価格は、当時ではどの程度のものか。このほかに数冊購入。 帰り際に、店主のおかみさんが出てきて、谷崎はよくでてきますと。へえ、そうなのか。

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