版画の描線(2)

 『表現主義版画集』(図案資料叢書・第四輯、大正14年1月、洪洋社)からの一葉。一箇所ひもとじの簡単帙に、無綴で30枚の版画が収められている。編者は田邊泰という人。

      Blog2011513

 13頁の《ホルツシュニット夫妻》(1915)。作者はフェリックスミューレル。

 女性の髪や額、あごからくびにかけての、すいた線は、陰影を示しているととれるが、男性の顔の線は、なんだろう? こんなシワシワな顔って、あるのか、と思ってしまう。すいた線が、もはや、陰影を表すのではなく、ある種の装飾的な表現として自己主張しているのだ。