石川啄木のキンキン声

 ちくま文庫版、森於莵『父親としての森鷗外』(1993年9月)を読んでいると、観潮楼歌会にふれて、次のような記述があった。

おでこの石川啄木は故郷の山河に別れて間のないころであったろう、頭に浮んだ歌を特有のキンキン声で口ずさむと父が大声で笑う。

 また、次のような記述もある。

石川啄木は特色のある歌を読む人として別の意味で父を喜ばせた。同氏の疳高な調子はこの集りの中でも特別で階下まで響いた。「こそこその話がいつか高くなりピストル鳴りて人生終る」という歌を新派のお芝居だと父が体をゆすって笑い啄木さんは不きげんだったと聞いた事もあった。

 「キンキン声」といい、階下まで響く「疳高な調子」といい、どんな声だったのか気にかかるが、声は復元できないので残念である。