煙突文学全集013 2011年12月06日 山田稔『オンフルールにて』より。 海面の小波が立ち、ときおり通りすぎる小帆船の船体が、白いしぶきをあげて大きく浮き沈みする。大きな貨物船も通った。通りすぎた後、その余波が突堤に押し寄せ、岸を打つ波の音が一時は荒海の錯覚をあたえた。岬のようにのびている対岸の左端のあたりがル・アーブルのはずで、ほぼ正面にぼんやりと白く見えている精油工場の煙突の先端に燃える火が、迫りくる夕闇のなかに赤くかがやいていた。にほんブログ村