『景情小品』(大正7年4月、日吉堂本店)。編者は、鹿島櫻巷という人物。
![]()
詩歌、小品のアンソロジー。「景情」とは、自然や世情のこと。
編者自身の「悽愴の一夜」は、日比谷暴動をとらえる。「丸の内の報知社の編輯局に来て」とあるので、報知新聞の記者か。
日比谷の停留場附近は人の山を成して、電車焼打の予報は誰伝ふるとなく、編輯局に達する、午後九時一道の青い火柱が桜田門外の空を衝て立つと、続いて一道、二道、遂には間近の中山邸前にも青い火が燃え立つ、宛然火柱の行列である、編輯局員は外廊に簇がつて、此の物凄い光景を見物する。
見物だけではなく、負傷者に窓帷をひきちぎってなげおろしたりしている。また、暴徒は「火箭」を子どもを使って投げさせているということも記録されている。
