煙突文学全集016

 隆文館の小品叢書は、小品の定着と普及に寄与した。第7巻は、白柳秀湖の『秀湖小品』(明治42年12月)。

 秀湖の小品には、とてもよいものがある。この『秀湖小品』には、詩的小品はあまりなく、随筆、評論が中心である。「渋谷の煤煙」(初出未詳)は、渋谷の発電所の煤煙を描いている。

詩の都は煤煙の都なり、君曾て高きに登り、重き水蒸気に圧されて、低く満都を包み行く、恐ろしき煤煙の勢威にうたれたることありや。されど此煤煙の都にも、猶渋谷発電所に於て見るが如く毒々しきは稀なり。

 雑誌『簡易生活』を創刊した友人(上司小剣)がこの発電所のそばに転居したので、よく訪ねて議論した。煤煙には特に感慨がある。