このところ、ラジオでよく荒井由実の「ひこうき雲」を聞く。
記憶の底に沈んでいたものがゆっくり思い出されてくる。百万遍の北にミックというバーがあった。店は地下にあるが、トイレは、奥の裏口を開けると階段があってその上にあった。月が見えたこともあった。そのミックでくりかえし、「ひこうき雲」がかかった。おそらく1973年秋、発売されてすぐの頃だ。
この歌は、夭折を物語にしながら、追悼する者の気持は他者にはわからないのだ、というディスコミュニケーションの強い意志を示していた。60年代後半から70年代にわたってきたときのからっぽの感じを告発するような気持で聞いていた。
検索してみると、ミックのマスターが昨年亡くなっていたことがわかった。
当時は、ジョウさん(漢字はわからない)と呼ばれていたお姉さんがいて、小柄で、瞳のはっきりしたショートヘアのよく似合う人だった。ふしぎなことに、忘れていた眼の表情をあざやかに思い出した。
〔付記〕 いま、ききなおすと、「けれどしあわせ」というところが、急カーブのように感じられる。捨てるべき何かを物語にして、その急カーブを曲がったのかなあ。
「ひこうき雲」。付記、2021/05/06、リンク貼り直し。
