和歌山県立近代美術館、恩地孝四郎展はじまる!

 和歌山は快晴。快適な天候のもと、和歌山の恩地展がはじまった。

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 ポスター、チラシになっているのは、《海の見える窓》という1940年の版画。濃紺の三角形は海だ。
 何かの向こう、何かの奥に空間があるという、恩地がよく使う画面構成。清潔で枯寂なモダンな感覚が1940年には、もう存在していて、わたしたちは、いま何の抵抗もなく窓辺に立つことができる。

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 東近美の展示とまったく感触が違っているので、少し驚く。東近美では、マルチブロックによる即物的表現が、心に響いてきた。展示空間が広いのも影響しているのかもしれないが、今回は、大正中後期、昭和初期の表現が気になった。
 書物の展示も多く、本と版画が連続しているように感じられる。今回、記憶にとまったのは土岐善麿の装幀。再版『月に吠える』の表紙画に通じるものがあったからだ。具象から抽象への移行期というか、両者の融合的表現に、この人のオリジナリティの核心があるようにも思えた。
 『月に吠える』は包紙をとって開いて展示してあるので、金彩がはっきりわかるようになっている。

 謄写版の展示も見ごたえがあった。よく色が出せるなあ、と思う。というのは、3ミリ方眼の原紙に、鉄筆で文字を刻んだ経験があるからだ。文字だけしか刻めないという思い込みがあるのである。

 Iさんを訪ね、いろいろ情報を得た。吉田博展の図録で、おもしろい図を発見。また、オランダのコレクターが関与した本のことを教えてもらう。山村耕花が大きくあつかってある。Iさんは、視点が違うとおもしろいという。たしかに、視点をずらせてみることは、たいせつなことだ。海外のコレクターが日本版画をどう見ているかを追体験すると、固定されたこちらの視点があぶり出されることもあるということだろう。帰ってから、アマゾンで検索するとひっかかった。
Waves of Renewalというのは、ジャポニスムの影響で、ヨーロッパで木版画の再興があったということを念頭に置いて、日本近代版画を見るということを意味しているのだろうか。
 昨年度末まで、仕事に埋もれていたが、ようやく、頭がうごきだしてきた。