津田青楓『墨荘雑記』

 必要があって、芸艸堂から、再刊されていた、津田青楓の『漱石と十弟子』を読み、書きぶりが面白かったので、昨日、S堂でいちばん値がはったが、随筆集『墨荘雑記』を購入した。何やかや、この所、安価のものも含めてたくさん買ったので、下半期は自重することとしよう。


 さて、随筆も生活のために書いていたという。この本には写生文が収めてある。1911年の「グルーズの女」。パリのセーブル街で一軒家を借りていた画家重野には、「グルーズの女」がいる。グルーズは『三四郎』に出てくるフランスの風俗画家、甘い感じの少女や娘を描くのが得意だ。その女性は、「歌麿の美人画にグルーズをつき混ぜた様である」。文反故を訪ねて来た留学生仲間と焼く。そのうち、みんな帰って二人だけになる。それだけの写生文であるが、変に深入りしないところに好感が持てる。

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 それから、青楓は日露戦に従軍している。


『道草』にしても、『明暗』にしても、青楓の装丁は、作品の内容の対極にある突き抜けた自由さを志向しているように見える。


 青楓略歴はここ。