①中島国彦・長島裕子『漱石の愛した絵はがき』(2016年、岩波書店)
そんなたいしたことないのではないかと、思っていたが、購入してみるとこれがなかなか面白い。漱石はもらった手紙、はがきなどはあまり保存しなかったというが、絵はがきは、まとまって残っていたことが、松岡譲によって伝えられている。
今回、岩波書店に保存されていた漱石宛絵はがき312通のうち約3分の1が、図版、翻刻とともに紹介された。漱石を一つのドットとすれば、そのドットにかかわるいろんな世代、いろんな経歴の人々のネットワークが再現されて、漱石の教養の輪郭について再認識できる。
私は、野間真綱や、橋口貢とのやりとりがおもしろかった。双方向のやりとりが復元できるからである。
一高、帝大の教員だったので「先生」と呼ばれるのは当たり前だろうが、「小説家の先生」という意味合いはあったのかどうか。「漱石様」と書いているのもある。
という具合にいろいろ考えることができる。
11月まで開催される、日本近代文学館の「漱石ー絵はがきの小宇宙」展の図録を兼ねているのだろう。
小さなことだが、「漱石の」ではなく「漱石が」の方がいいのではないか。「の」としたのは、絵はがきに重点を置くためだろうか?
②オノヨーコ『どんぐり』(2015年、河出書房新社)
これは1年前に出ていた。『グレープフルーツ』の仕立て直しと思い込んでいたのだが、そうではなく、新しく書かれたもの。点画が添えられている。
イメージと言葉の関連を考える時の材料として購入した。
③『村上春樹とイラストレーター』(2016年、ナナロク社)
佐々木マキ、大橋歩、和田誠、安西水丸の4人のイラステレーターが村上作品に寄せたイラストの概要を示す。制作プロセスが公開されているものもあり、イメージと言葉の関連を考える材料として購入した。
④石川桂子編『竹久夢二詩画集』(2016年、岩波文庫)
詩115編を、セレクトされた挿絵とともに収録。また、エッセイも収録。あちこち探しまわらなくとも、重要な文章が収められているので便利である。
田中恭吉もこうした文庫があればなあ、と思う。
⑤松本清張『松本清張ジャンル別作品集❸美術ミステリ』(2016年、双葉文庫)
こうした切り口で来られると買ってしまう。「真贋の森」はじめ4編収録。
解説の郷原宏によると、清張は「日本における美術ミステリの大成者」だという。
◇あと、難波知子の『近代日本学校制服図録』が出ていた。これは素晴らしい。お金が尽きて買えなかった。
