見た。1971年に梅田のATGで見たのが初回。
HDマスターでブルーレイであるため、初見の際のザラザラ感はなくなっている。
自分のトラウマを追体験するので少しこわかったが、結果的にはいろんなことがわかった。
監督インタビューでは、最初のキャストは、市川染五郎(現、松本幸四郎)と若尾文子だったという。『ラマンチャの男』のロングランで変更を余儀なくされたという。中村賀津雄は、いってしまった感じで、瞳の停止感がすごい。三条泰子は、セリフ回しなど緊張しているが、おそらく不慣れなゆえに、客体としての女を演じることができている。唐十郎はじめ、役者はみんなうまい。
原作は、鶴屋南北の『盟三五大切』。因縁話の閉じた輪が、源五兵衛の復讐の意味を奪ってしまうところがポイントか。裏切ったものが結果的には、自分を支援しようとしていた、しかし、復讐の殺戮は遂げられてしまっていたという因縁話の円環は、闇から逃れられないというやりきれない感じをうまく出すことにつながっている。
初見の際に、残虐さにおどろいたと思っていたが、そうではなく、復讐の意味が失われるという閉塞感がおもくこたえたのだと思う。1969年の第一作『薔薇の葬列』にあった祝祭感は皆無である。
源五兵衛の空想もそのままつなげて撮っていたり、シーンを反復するところがあったり、すべてが源五兵衛の妄想の中の世界のようにも思える。
捕り手の提灯が闇に揺れるシーンなど、様式美にもことかかないが、それは目的ではない。
*KING RECORDS 『新・死ぬまでにこれは見ろ』シリーズブルーレイ。松本俊夫監督、撮影鈴木達夫『修羅』。
