11日の報告の準備。肩がはってきたので、図版撮影とレジュメ作成を交互に行う。
図版は、新潮社明治34年3月、『恋愛と文学』。『新潮社100年図書総目録』では、佐藤儀助編となっている。
表紙は山中古洞。この人は古手だが、感覚におもしろいものがある。
折り込み口絵は、一條成美。
これも雑誌初出があるはずだが、思い出せない。「成」が一條成美の署名だとしたら、下にある「よした刀」というのは彫刻師(彫り師)を示しているのだと推測できる。よく見るサインなので、一條とコンビを組んでいたのかも知れない。
「あんまり矢ばかり放ってはいけませんよ」という感じか。折り込みは、写真転写で縮小ができなかったことを示している。
ところで、先日『文庫』の複刻版を調べていたら、松風会の集合写真があり、一條成美が写っていた。明治43年になくなったとき、読売新聞に訃報が出たが、その時の写真は30代とは思えぬやつれかたをしていた。松風会の写真は、美髯の美男子である。ひいき目で見るためかも知れないが、全体の中でもモダンな感じがする。他に、小島烏水などがうつっている。一條は、河井醉茗の詩集『無絃弓』の装幀をしており、そうした関係があったのかも知れない。
複刻版ではものたりないので、検索してみると、なんとオリジナルがあるではないか。さっそく注文した。届くのを待っているところだ。
赤瀬川ではないけれど、偶然が転がっていって本が見つかったりするのだ。
〔付記。2020/11/28〕一部記述修正。クピド図は、一条成美。「よした刀」は彫刻家(彫り師)の書名で、他にも例がある。
この絵は、雑誌『新声』(明治34年4月、第5篇第4号)に掲載されていることが復刻版を見ると分かる。ただ、復刻版は、ペンで落書きされたものをそのまま復刻しているので要注意である。下部に「恋愛と文学の挿絵」というキャプションがついている。
ヴィーナスとクピドを描いているが、元絵はあるのだろうか。西洋美術に詳しく、元絵が分かる人がおられれば、「読者メッセージ」にてご教示いただきたい。
【付記】2023/08/11 9:22
松風会の集合写真についてはnoteで記事《一條成美の写真》を公開した。
