文庫櫂さんで見つけた『白馬会紀年画集』(明治38年10月、白馬会)。最初コロタイプかな、と思ったが、ナノキャプチャで拡大すると、ドットが見えるではないか。とても網版とは思えない仕上がりである。
白馬会の展覧会の図録として用いられたもの。10回大会の記念として発行された。
久米桂一郎の「紀年画集はしがき」はつぎのように記している。
油画を写真に取ることは非常な困難で、是まで一度として満足にいつた例はない。然るに此画集の写真については柴田常吉君が熱心に腕を揮われ、撮影から仕上げまで全く自身に手を下して申分のない印画を作られた。日本で出来た油画の複写としてこれ程見事なのは全く始めてといつても差支へない。又製版は田中猪太郎君が特別な注意を以て之を担当せられた。両君の尽力により版画の精美なる点は誰にも誇ることが出来ると信ずる。
田中猪太郎は、島崎藤村の『破戒』の口絵もやっていたはずである。
久米の《夏の少女》はこんな仕上がり。
網版で、ここまでやれるのか、と感心する。
下手なカラーよりも、色彩が想像できるようだ。
《大塚八坂堂通信》によると、カラーリングもグレースケールから始めるそうだ。
