古本海ねこの目録を取り寄せて見つけたのが、平岩由伎子(三歳)『人形の耳』(昭和5年、梓書房)。
*右開き縦組みだが、箱の口は左側にあいている。
平岩米吉は動物学者で、雑誌『母性』や『子供の詩研究』などを発刊した。
『人形の耳』は、平岩の娘が3歳になるまでの折にふれてのつぶやきを自由詩ととらえて筆録したもの。
装幀と挿絵は恩地孝四郎。
*『古本海ねこ古書目録 11』より。
詩を1つ紹介しよう。
涼しい風涼しい風口の中まで。註 芝生のブランコで遊びながら。
口を開けてブランコをこいでいると口の中に風がとどく。なんでもないことだが。
恩地の挿絵は工夫を凝らしたものが多く、恩地自身の詩画集にも関連を感じさせる。
恩地の『海の童話』『飛行官能』『季節標』は1930年代に入ってからの仕事であり、この『人形の耳』の試みは、絵と詩の組合せに深く立ち入ったものとして興味を引く。
2016年の恩地展の図録には出ていない。
