『文章倶楽部』(大正13年12月、新潮社)。「文壇近時画報(1)」。
キャプションは、「佐藤春夫氏とその新夫人(十一月初旬郷里紀州に向つて出発の日東京駅にて)」。
ちょっと、写真週刊誌みたいである。
小谷野敦『谷崎潤一郎伝 堂々たる人生』(2006年6月、中央公論社)に、「この月(引用者注-大正13年3月)、佐藤春夫が、赤坂の藝妓小田中タミ(多美)と結婚して、周囲を驚かせている。むろん佐藤としては、千代を思い切ってのことだったろう。」と記されている。
タミさんは垢抜けた感じである。
小谷野著の第七章冒頭には、「大正十五年の五月から、佐藤春夫は、妻タミの従妹きよ子と恋愛事件を起こし、妻タミから、あなたのしていることは谷崎と同じではないか、千代さんに会ってみたい、と言われて、ようやく谷崎の気持ちが分かったと言って、和解する。それを仲介したのはタミで、九月十日頃、谷崎が上京して偕楽園に泊まっているとタミから電話があり、佐藤宅を訪ねると佐藤は不在だったが、佐藤の手紙が置いてあって、和解したい、とあった。」とある。
佐藤は、後年、谷崎の元夫人千代と結婚するので、タミと離婚したことはいうまでもない。
