『世界二百文豪』

ざっさくプラスが無料公開されているので、「文豪」を引いてみた。
民友社の『拾貳文豪』シリーズには、海外の文豪に混じって新井白石や荻生徂徠、近松門左衛門がはいっているが、日本近代の文学者はない。

「文豪」は物故作家におくられる称号のようだ。

検索結果を見ていくと、『尾崎紅葉――明治文豪傳之内』(松原至文編、文禄堂書店、明治40年9月18日)に目がとまる。近代の物故作家を「文豪」と称した早い例だろう。

博文館の『文章世界』の『近代三十六文豪』の特集(明治41年5月)には、泰西文学の巨匠にまじって5人の日本の近代作家が含まれている。正岡子規、北村透谷、尾崎紅葉、高山樗牛、樋口一葉の5名である。日本近代の著名な物故作家を文豪に数えている。

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大正期の『文章倶楽部』は、若年の投稿読者に対して、現存の作家を成功者として提示し、世界文学の文豪たちの事績も紙面で紹介された。そうした流れで、多くの文豪本が生まれている。

『世界二百文豪』(春陽堂、大正13年7月18日)もそうした一冊。各国別の人名辞典と、附録として日本の現存作家をとりあげた「日本現文壇大鑑」がついている。泰西文豪の紹介が世界文学の意識を生み出し、日本の近代文学もそこに接続するように考えられ、文学史の構想も芽生えてくる。

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二百文豪の日本編に取り上げられた近代作家は12名。『近代三十六文豪』の5人に、二葉亭四迷、夏目漱石、森鷗外、島村抱月、岩野泡鳴、國木田独歩、有島武郎の7名を加えた12名。
扉には「春陽堂編纂局編」とあるが、奥付では編纂者として多惠文雄の名が上がっている。
今読んでも、わたしなどにはおもしろい本である。