雑誌『ハガキ文学』第4巻4号(明治40年4月1日、日本葉書会)を見ていると、次のような広告に目がとまった。
『泰西名画鑑』は持っている。
『東京写真帖』はいつかお目のかかりたいと思っている。
『スケッチ画集』はある。
『鉛筆スケツチ習画帖』は先日、1輯、2輯を手に入れた。
で、問題は、太田三郎の『彩翅』である。
聞いたことがないぞ。
「目下印刷中。」とあるが、本当に出たのだろうか。
書名の読みは「さいし」か。(アイドルの名前みたいに「いろは」だろうか。)
内容も気になる。画集か文集か、はたまた画文集か。
前の一條成美の『新粧』のように、名のみ残り、地を払ったように存在が不明な本というものはけっこうあるものなのか。
『ハガキ文学』の重要性はわかっているつもりだったが、集めやすかった昔にオリジナルをできるだけ集めておくべきだったと後悔。20冊は手元にあるけれど。
散財したし、がんばったほうである。復刻はなく、マイクロフィッシュがあるが、全国で架蔵しているところはすごく少ない。
上段広告文の後半を引用しておこう。
▲前号に披露せし通り、本会は従来雑誌ハガキ文学と各種絵葉書との出版を専らとしたるが今回大に業務が拡張すると共に、有益なる美術の友となり、清新なる趣味の普及を計らんが為め、新しき美術著書及び画集の類を漸次刊行する事としたり。従来垂れ玉ひし親愛なる諸兄姉の高誼により、広く満天下の同情を佑ひ得べくんば、幸何ぞ之れに過ぎんや。――下にその計画の二三を挙げしめよ。
この文言は、新詩社の『明星』の発行趣旨と似ている。『明星』が衰微した時に、その編集方針を継承するような感じだ。
太田の本は、この広告文を踏まえると画集だろうか。
ただ、定期増刊の『静想熱語』第4巻6号(明治40年5月15日、日本葉書会)に太田三郎は「花ちる宵」という小品を寄稿しているが、とてもよく書けている。
さて『彩翅』にであうことはできるだろうか。
〔付記、2022年3月30日〕
『彩翅』の読みは「あやは」であることがわかった。
