手彩色という説明がついていた絵葉書を購入。
『金色夜叉』の熱海の海岸の場面。
ハガキの裏に仕切り線がないので、明治6年(1873)〜明治40年(1910年)3月までのもの。
『金色夜叉』の新聞連載は、一八九七年から一九〇一年にかけてのこと。
右下に「大阪道頓堀田中書店発」とある。
左下のサインは「舟」はわかるが次がわからない。
一見した感じでは、手彩色かどうかはわからない。
拡大してみよう。
モノクロの地はいわゆるアートタイプ版のようだ。ドットは出ない。
うなじの上あたりの色の部分(リボンか)が筆で絵の具を垂らしたような感じだ。
髷の紐も手彩色のような気がする。
明治30年代中期では、まだカラー印刷がそれほど自由ではないようだ。
もう一つ、本より絵葉書の方が、活字と絵の同一平面での共存を早く実現しているということ。
絵葉書がセットであれば、それは一種の画譜物語とみなせる。
多色石版は手間とコストがかかるのかたくさんは確認していない。
『金色夜叉』『不如帰』『夏子』などモノクロ写真のセットものはたくさん出ているようだ。
〔追記、2022年4月28日〕再度修正。
読者より、名前は「舟斎」ではないかという指摘をいただいた。
落款と印の組み合わせ。名前は同じことが多いので、「舟斎」でよいのか。「斎」のくずし字を検索すると似た字を見出せる。
『古今絵画名家録』(大正8年10月2日、洛陽美術社)には見出せなかった。
モノクロ部分は、アートタイプ(玻璃版、コロタイプの原理と同じ)で印刷されている。
この絵葉書は、アートタイプ+手彩色。
アートタイプ+色刷り石版のタイプもある。
