古本日記 安倍能成の随筆など

『日本の古本屋』を見ていたら、近所の古書店に安倍能成の随筆類がたくさん出ていることがわかり、何冊か買い求めてきた。
たいていは、国会図書館のデジタルライブラリーで読めるが、注釈作業の気分転換に短い文章を読みたいと思ったのである。

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旧蔵者は本を大切にする人らしく、みな美本である。
『巷塵抄』の箱はオリジナルではなく、いわゆる作り箱である。

若い頃の写真がバンカラ風でそれも記憶に残っている。

国会図書館の《近代日本人の肖像》から安倍能成の肖像写真を引用しておこう。
小さい窓に入っているのが若い頃の写真だ。

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*出典:国立国会図書館「近代日本人の肖像」https://ndl.go.jp/portrait/datas/364
写真の出典は『落第読本』(辰野隆編、鱒書房、1955年)

【編集履歴】2022/11/20 21:47
『耶蘇氏伝』の翻訳を綱島梁川の没後に引き継いだと書いたのは誤認であったため削除した。

安倍能成の自伝『我が生ひ立ち』(昭和41年11月28日、岩波書店)に次のような一節がある。

我々四人の中でも私は殊に先生の愛顧を受け、色々親切なお世話に与かつた。その一つは先生の明治三十五年の三月頃から起稿せられて、「名著綱要」に出た、「ルナン氏耶蘇伝」の一章から十章までの稿についで、私が第十一章から終末の二十八章に至るまでの訳稿をやらせてもらったことである。それは学資を稼ぐ必要から、「自分の修養にもなり、その結果が幾分か纏まつたものとして遺り、且つ多少は世をも益し得る仕事として、翻訳の事を思ひつき、」先生に相談をした結果であつた。これは先生の長逝された一年後の、明治四十一年九月に先生の補正を受けることもできず、「ルナン氏耶蘇伝」として、日高有倫堂から出版された。

「四人」とは、安倍のほか魚住折蘆、宮本和吉、小山鞆絵で、綱島梁川の愛読者であった人たち。

 綱島梁川は、学資を稼がせるためにルナンの翻訳を安倍に任せたのである。

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