煙突文学全集027 島崎藤村『家』

島崎藤村『家』「八」。青空文庫による。


「正太さん、君は女を見てこの節どんな風に考えるネ」
「さあねえ――」
「何だか僕は……女を見ると苦しく成って来る」
 こう話し話し、三吉は正太と並んで、青物市場などのあたりから、浜町河岸の方へ歩いて行った。対岸には大きな煙突が立った。昔の深川風の町々は埋立地の陰に隠れた。正太は川向に住んだ時のことを思出すという風で、あの家へはよく榊がやって来て、壮に気焔を吐いたことなどを言出した。

産業化による隅田川河畔の風景の変化がとりあげられている。

昔の深川風の町々は埋立地の陰に隠れた」。

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