平山亜佐子『明治大正昭和 化け込み婦人記者奮闘記』(2023年6月、左右社)という本があって、帯に「化け込み=変装潜入記事」とある。
女性記者が、世間のさまざまなところに潜入して、たとえばカフェの女給になりすまして、探訪記事を書くことを言うらしい。
少し前の記事《石川啄木『ローマ字日記』と浅草十二階下の娼婦の名刺》で知久桟雲峡雨 著『裏面の東京』(義正堂、大正8年12月、第7版)という本を紹介した。
浅草十二階下、千束町ではたらく女性がローマ字書きの名刺を持っていたことを紹介した。
『裏面の東京』の著者は知久桟雲峡雨となっている。「凡例」に『新公論』という雑誌に掲載した「変装記」を主にまとめたものだと記してある。
「変装記」というのが気になって、『新公論』を検索すると、十二階下の初出記事が見つかった。
『新公論』1913年2月(第28巻第4号)掲載の「十二階下の女より」という記事は、知久の名義ではなく、「千束町魁新道萬玉家内 服部みさほ」となっている。
知久がみさほに変装しているということである。
