古本日記 『石井柏亭自伝 明暗』

この本は、国立国会図書館デジタルコレクションで見られるが、古本屋さんのサイトでみたときにすぐ注文した。
自分の手に取って読んでみたかったのだ。たしか3000円。

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雑誌『明星』に掲載した「明暗」など、自伝的文章を集めたものである。

図版も豊富だ。

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『明星』挿絵《物干の月》。
ちょっと不思議な感じ。

もとは木版だと思うが、亜鉛凸版でやり直したのだろうか。

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『明星』挿絵《ねむり》。掲示には「注意」と書いてある。
場所はどこだろう。

「明暗」は第二次『明星』の末期に掲載されたもの。
慢性トラホームの治療のため、明治38年から翌年にかけて大阪に滞在した。
姉の嫁ぎ先に厄介になったのである。

目の具合はよくならず、知友のすすめで診てもらった大学病院では生涯付き合うしかないと言われる。
しかし、東京に帰って完治する。よかったと思う。

画家にとって目の具合が悪いのは困ったことだが、あえて不安や苦しさは表に出さず、淡々とした筆で交友の様子が記される。

『宝船』という俳誌に集う人たちとの交流は、興味深い。
西鶴の版本を借りたり、『葵氏艶譜』を見せてもらったりしている。

俳句のネットワークというのは、文化の厚みの上に成り立っている。
俳人たちは普通の職業人でもある。

【編集履歴】
2025/01/31 19:42 誤記修正 『宝島』→『宝船』






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