ここ4,5年で電子書籍を購入する機会が増えた。
話題の『陰謀論と排外主義』も紙の本が売れてしまって見当たらないので、電子版を購入した。
先日は、講談社文芸文庫のセールをやっていたので、大西巨人の『地獄変相奏鳴曲』(第一楽章~第三楽章)、(第四楽章)の2冊を購入した。
普通サイズのiPadを使っていたときは、書見用のらせん形のアームを寝室の障子の枠に取り付けて、寝ながら読んでいた。
いまは、寝床に入って、iPadミニを左手に持って読んでいる。
家仕舞いのための実用書なども電子版で購入したが、電子版は小説を読むのに適していると思う。
ハイライトやしおり機能はどんどん使えばいいのだが、紙の本なら売るために書き込みしないので、それが癖となっていてあまり使わない。
電子本は紙の本にくらべて、すばやい総覧性におとるので、ハイライト機能などは使っていったほうがよいと思う。
大西の本は、第三楽章が戦後間もない頃の差別事象に巣くっている地方のボスの悪事が、前衛党員の調査から明らかになっていくさまを描いている。今のこととして読めると思った。
第四楽章にすすもうとして、ふと思いついて調べると、福永武彦の『死の島』が、上下2巻で新潮社から電子版が出ているのに気がついた。
1冊700円弱だったので、まず上を買って三分の一ほど読み進めた。初読は『文藝』の連載だったので、思い出しながら読んだ。
けっこう通俗的な恋愛小説だと再認識した。出版社につとめる相馬鼎は、個性が対照的な、一緒に暮らしている相見綾子と萌木素子と知り合う。2人が旅に出て、よくない知らせが下宿のおばさんに届き、それを知って相馬は広島に向かう。
映画『メメント』のように、時間系列がごちゃ混ぜになって、断片的に語られる。
下巻を購入しようか迷っていると、小学館から、『福永武彦 電子全集18 『死の島』、ロマンの完結。』が出ていて、初出、単行本、校異、インタビュー、創作ノートなど関連資料が全部入っていて、セールで2000円弱で出ているのに気がついた。
昔読んだ小説を再読する贅沢な時間は、自分にはないので、前に進まなければ、と思っているうちに、価格は、2740円になっていた。しかしポイントは842もある。
逡巡していると、「冬の日は詠むるままにもくれ竹のよるぞわびしきながき思ひは」ということで、外は真っ暗になっているのだった。
