『浄瑠璃の女』

daily-sumus3さんの記事《武田寿・比佐》を見て忘れていたことを思い出した。 もう5,6年前のこと。ある古書店で、おもしろそうな画文集がでていて、照会したが売れてしまったあとだった。作者については聞いたことがない人だった。 その買いのがした本が、武田壽の『絵ものがたり 浄瑠璃の女』(大正元年8月、博文館)であった。 調べると、国立国会図書館デジタルコレクションで公開されている。ここ…

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オタさん紹介の小林源太郎発言

オタさんのブログの《神保町系オタオタ日記》の「竹久夢二を語る兼常清佐と小林源太郎」(2018年12月19日)という記事に興味深い発言が紹介されている。 『音楽』(東京音楽学校学友会、大正5年8月)という雑誌に「夢二問答」という、兼常清佐と小林源太郎の対談が掲載されているという。兼常は音楽学者、小林は画家である。 兼常の「夢二の画の先駆者は誰でせう」という問いに対する小林の答えが引用されている…

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絵と活字の組合せ

森田恒友の『画生活より』(昭和9年7月6日、古今書院)に、「常総の夏」という画文を組合わせたエッセイが収録されている。「常総の夏」の初出は、『早稲田文学』大正9年7月である。 次のような版面構成になっている。 こうした、頁の上半分と下半分を絵と文に振り分けるやり方はいつごろ始まったのだろう。 小杉未醒の『漫画一年』(明治40年1月、左久良書房)は、コマ絵として一度使用した絵の下に文を加…

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児島喜久雄の小村雪岱評

児島喜久雄『美術批評と美術問題』(昭和11年12月5日、小山書店)には、「現代挿画家偶評」(初出は『改造』昭和8年10月)という文章が収められている。(この本は国会図書館のデジコレで読める。) そのなかで小村雪岱(こむらせったい)の評価がおもしろい。原文の漢字は新字に改めた。 小村君は巧妙な鳥瞰法の応用と現実味を加味した動作の描写によつて春信、湖龍、 文調等の世界を今に活して大に人気を博…

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三並花弟のこと

田中恭吉と交流があった三並花弟は回覧雑誌『密室』に参加している。エッセイと曲譜を寄稿しているが、絵画作品はない。 三並の絵画は『近代の美術43 フューザン会と草土社』に紹介があったはず。いま本が見つからない。 『回覧雑誌『密室』解説』(2009年3月20日)から、『密室』7号の解説の一節を引いておこう。 三並花弟「この頃の感想」は『白樺』的な自己至上の思想を語っている。「常に己に生きよ。総…

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note、新記事あげました

noteに新記事あげました。 「画文の人、太田三郎(1) 鴫沢宮の顔のかげ」です。 いろいろあって、ちょっと遅れました。

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魚と鳥の取り合わせ

詩集『月に吠える』の口絵は、田中恭吉の絵をもとにした木版画であるが、魚と鳥が上部に描かれていて、〈魚鳥、空を飛ぶ〉の趣がある。       *『月に吠える』口絵、上部拡大図 このことについては、過去記事《空を飛ぶ魚》で、過去の文章を紹介した。 魚は水中、海中に生息し、鳥は空を飛ぶ。なぜ魚鳥がともに描かれるのか、その由来について知りたいと思いつつ、答えを見出せていない。 今日も変わらず、書…

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小泉鐵(こいずみ・まがね)のこと

《神保町系オタオタ日記》の記事、「『白樺』同人で『台湾土俗誌』著者小泉鉄の晩年ーー中央公論社編集者三沢澄子宛書簡からーー」を読むと、『日本近代文学大事典』が引かれていて、そこに「美術紹介」の語がある。 洛陽堂から出た『泰西の絵画及彫刻』全5冊(絵画篇4巻、彫刻篇1巻)の編集をしたのが、小泉鐵であったことを思い出す。第5巻「上古篇」は木村荘八の編集である。 この本の図版は、雑誌『白樺』掲載…

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岸政彦・柴崎友香『大阪』と小川雅章の装画

ウェブで岸政彦・柴崎友香『大阪』(2021年1月、河出書房新社)の書影を見たとき、既視感をおぼえた。 家にある木版画によく似ていたのである。画家の名前も確かめたいし、中味も読みたいので購入しようと思っていたが、自分の調子が悪いことやその他の事情で、やっと地上の書店で入手した。買った本は2月の2刷であった。 するとどうだ、やはり家にある木版画と作者が同じであった。木版画と同じ構図で…

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大塚英志著『ミュシャから少女まんがへ 幻の画家・一条成美と明治のアール・ヌーヴォー』を読んで

 大塚英志著『ミュシャから少女まんがへ 幻の画家・一条成美と明治のアール・ヌーヴォー』(角川新書)が刊行されたのが昨年7月。感想を記そうと思いつつ、時間が経ってしまった。昨年の秋に書きためたメモをもとに、わたしが興味をひかれた点についてまとめておきたい。 「日本近代の大衆的視覚表現における少女や女性キャラクターの「描き方」のOSの形成にミュシャは大きく作用している」という視点から、『明星』…

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