あれとこれ 木版と石版

 はじめて手にしたオリジナルの『明星』は、明治37年1月号。日本の古本屋のサイトができてまもないころ、まだ検索に制限がなく、平凡出版の芸能誌『明星』ばかりが際限なくでてきて、まいったが、あきらめずにつづけていると、青森の古本屋さんで、この号が見つかったのである。価格は2700円だったと記憶する。 それまでは、臨川書店版の複刻版の図版をコピーして、ファイルに分類していたが、印刷の本当の状態はオリジ…

続きを読む

色刷り木版の版面 つづき

博文館『文藝倶楽部』第7巻15号、明治34年11月。『明星』が西洋美術の若手を使って、誌面に新味を出そうとしていた時期である。 表紙は、山中古洞《冬木立》。目次によれば、「精彩石版画」である。 口絵は、梶田半古《仙錦亭》。目次によれば、遅塚麗水の小説「仙錦亭」の口絵で、「精彩木版画」である。髷の部分を拡大してみよう。  少しわかりにくいが、地の黒の上に、髪の線を示す黒が重ねられている。 ヒロイ…

続きを読む

伝統的な多色木版の版面

先日買った、国貞・種彦の『明烏 八編上』の表紙。いつの刷りかはわからない。顔のアップ。方向は少し変えてある。 髪の生え際に特徴が出ている。 刀を持つ手元のアップ。線と色面が区別されている。 色面の規則性のない、なんというか、モコモコした感触が木版の特徴である。もう少し、適切に描写できるようにならないといけないが。

続きを読む

木版コマ絵の刷り

 さて、木版コマ絵の刷りについて考えてみる。 岩切信一郎「印刷から見た夢二作品」(『夢二 1884−1934 アヴァンギャルドとしての抒情』展図録、2001年4月、町田市立国際版画美術館)の所説を紹介しよう。 岩切氏は、明治末期は、木版を原版とすることが多かったという。岩切氏は「夢二が挿絵画家としてデビューした明治末期は、まだ木版を原版として用いることの方が主流であった。後の大正年間になって活発…

続きを読む

版面分析なかじきり

版面分析でむずかしいのは、錦絵的多色刷り木版ではなく、単色木版のコマ絵の類だということに気がついてきた。まさに印刷と版画の境界線があらわになるからである。 まず、先行研究の見解を整理しようと思う。 それから、ナノキャプチャで版面分析を重ねていきたいと考えている。 完璧さを前提にせずに、むしろ試行錯誤を公開するような形で進めていけたら、と思っている。 夢二のコマ絵集は、木版からの直接印刷で…

続きを読む

版面を分析する 単色木版の巻

鹿島淑男(櫻巷)編『漫画百趣』(明治43年1月、日高有倫堂)。ここでいう「漫画」は、コミックの意味ではなく、略筆画のことをさす。小杉未醒が、「漫画」を書名に入れたコマ絵集をたくさん出しているが、鹿島櫻巷編で『漫画春秋』というのもあるようだ。集めきるのはたいへんである。鹿島は、報知新聞の記者であったので、新聞掲載のコマ絵に俳句など言葉をつけて刊行したのかもしれない。こうした、コマ絵や俳画の画集は、…

続きを読む

木版画のこと

 木版画について、  サビ彫り 2010年11月4日  サビ彫り問題 2011年2月7日  伝統版画vs創作版画 2011年2月8日  伝統版画vs創作版画(その2) 2011年2月23日 という記事を書いたが、五所菊雄氏からメールをいただいた。  サビ彫りについては次のようなことを教えていただいた。 「サビ彫り」と「突き彫り」は似ています。「サビ彫り」は、版木刀で彫りますので、日本的な…

続きを読む

版画の描線(2)

 『表現主義版画集』(図案資料叢書・第四輯、大正14年1月、洪洋社)からの一葉。一箇所ひもとじの簡単帙に、無綴で30枚の版画が収められている。編者は田邊泰という人。         13頁の《ホルツシュニット夫妻》(1915)。作者はフェリックスミューレル。  女性の髪や額、あごからくびにかけての、すいた線は、陰影を示しているととれるが、男性の顔の線は、なんだろう? こんなシ…

続きを読む