長田兄弟風雲録

 古書からたちで、購入した長田幹彦『文豪の素顔』(要書房)がおもしろい。  幹彦の兄は、秀雄で、木下杢太郎と同窓で劇作家。父は医師だったが、二人とも後を継がなかった。  「森鴎外」の章では、秀雄の作とされている『歓楽の鬼』は、じつは幹彦が書いたものであると記してある。「三田文学」の締め切りに間に合わず、秀雄が断りなしに弟の作品に少し手を入れて送稿したのだという。  幹彦は、後年、小山内薫に…

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雑録

◇礼状を、2.3書いて、J堂に出かける。老眼で岩波文庫版の文字がきつくなってきたので、集英社文庫の漱石コレクションの『行人』と『道草』を求める。『彼岸過迄』が読みやすかったので、後期作を揃えてみた。 新潮文庫が文字はいちばん見やすいのだが、今回は敬遠することに。 ◇さて、『彼岸過迄』は、よかった。大人の小説やないですか、という感じ。 須永は、父の不倫の子であるというのに、須永の母が千代子…

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雑がみ

前に一度書いたが、「雑がみ」が気になる。図書館用語?

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全国書房版『私』

3年ぶりに訪ねた古書店に谷崎本がたくさんあった。 これは昭和22年刊の『私』。箱の紙の感触が気になった。 背文字の銀は鮮やかである。 作品のセレクトもおもしろい。 100円という価格は、当時ではどの程度のものか。このほかに数冊購入。 帰り際に、店主のおかみさんが出てきて、谷崎はよくでてきますと。へえ、そうなのか。

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あれとこれ 二人の司祭

 宇都宮美術館の月映展のチラシは、藤森静雄の版画《夜》を使っていた。  おそらくポスターも同じだと思われる。  かなり前になるが、初めて見たときの《夜》の印象は、まがまがしいものだった。死者たちを描いていると思ったからである。  しかし、よく見ると横たわる人々は、生きていて苦悩しているようにも見える。一番奥の司祭ふうの装束の人物は何を示すのであろうか。  福岡市美術館の『藤森静雄展』の図…

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