雑誌『藝文』のこと

 小磯記念美術館の藤島武二展には、藤島が表紙を描いた『藝文』という雑誌が展示されていた。 過去記事《佐々木なにがしの傑作『薬草採り』とは?》で紹介した、作家長田幹彦が「ネオ・ロマンティシズムの全作品を通じて僕が今でも一番高く評価しているのは、「藝文」という雑誌に出た佐々木という人の「薬草採り」という作品である」という発言に出でてくる『藝文』のことだと思った。  所蔵している愛知大学図書館のデー…

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谷崎潤一郎、妻を語る

 書架の奥から、昭和29年11月14日号の『週刊朝日』が出てきた。表紙画は、伊勢正義の「バレエ」。 何で購入したか、わからなかったが、「妻を語る」という1ページのグラビアで、谷崎潤一郎の松子夫人についての談話が載っている。 談話記事は、新全集25巻(2016年9月、中央公論新社)に収められている。「春信の描いたような女」が懐かしいとある。 別冊太陽が鈴木春信の特集号を出していた。 春信の描く女性…

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佐々木なにがしの傑作『薬草採り』とは?

 時間と体力がないので要点だけ記す。  長田幹彦『人間叙情』(昭和28年、要書房)に「青春グループ」という回顧の章があって、パンの会周辺の人々を耽美派ではなく「ネオ・ロマンティシズム」と呼んでいる。  幹彦自身については「僕はネオ・ロマンティシズムでも一番散文的な途をたどり、稍ゴルキイ的なものを身につけてはじめて文壇に登場したが、しかしその時には、既にネオ・ロマンティシズムではなくて、俊敏な…

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戦争と美人絵はがき(その2)

 じつは、美人絵はがきは戦争と深い関わりがあり、兵士慰問のために使われたということは、過去記事《戦争と美人絵はがき》で書いた。 先日、入手した宮武外骨の雑誌『スコブル』大正7年6月号を見ていると、「松の里人」名義で「美人絵葉書で敵軍を全滅す」という記事が出ている。 第一次世界大戦での出来事と思われるが、英国、ドイツの兵士とも、美人絵はがきを塹壕生活の慰安としていた。塹壕を占領するとその壁に飾られ…

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複刻版と退色

 あるかたが、『地上巡礼』のオリジナル写真をつぶやきにのせている。少し版が大きくなった最後の2冊は、紺色に見える。複刻版では葡萄色(えびいろ)的に、赤系の要素が強まっている。これは、推測だが、退色したオリジナルを参照して作ったためではないだろうか。 過去記事《写生文の「うふヽん」》で紹介した『新写生文』ももとは、紺色系の紫だったかもしれない。 古本屋さんで、合綴した『ホトトギス』を見せてもらった…

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雑誌をあつめる

このところ、少しずつではあるが、古雑誌をあつめている。一冊5000円というのは手が出ない。2000円までである。博文館の『女学世界』1908(明治41)年2月。表紙は一條成美。折鶴に糸をつけて舞わす遊びがあったのか。石版印刷。口絵は、上村松園や宮崎(渡辺)与平など。コマ絵は多く、竹久夢二も複数作品がある。保存はよい。なかに、虫の押し花ではなく、押し虫があってまいった。懸賞クイズがあって、総額10…

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『児童心理』3月号

『児童心理』3月号、特集「負けず嫌いな子」に「「負けず嫌い」の構造変化について」という文章を寄稿しました。国木田独歩『画の悲み』と、武田綾乃『響け! ユーフォニアム』を比較して、「負けず嫌い」の心性の変化について考えました。2月10日ごろ発売予定。目次はここ。 付記 2017年2月17日。発売されています。

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俳誌「渋柿」44号

「渋柿」は、松根東洋城が主宰する俳句雑誌。44号は、漱石の一周忌に合わせて、ほぼ全冊を特集に当てている。  江口渙の回想に、宮内省の金筋入りの服で、漱石の葬儀の進行役をつとめた東洋城に俗臭を感じたという趣旨の記述があったと記憶する。  母は、宇和島藩主の娘で、父は家老。自らは宮内省の官吏となった。  「渋柿」の一周忌特集については、柴田宵曲のエッセイで知った。  たまたま手にすることがあ…

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ぼっち

 《出版・文化メモランダム》の記事「出版状況クロニクル55(2012年11月1日~11月30日)」で、『サイゾー』12月号の特集「今、一番ヤバイマンガ」が紹介してあり、おもしろそうなので、退勤途中の本屋で探す。2軒目の書店で発見。この雑誌を買うのは初めてだ。  小田嶋隆のコラム「友達リクエストの時代」の1回目。次のような部分がある。「ぼっち」は大学のキャンパス内をたったひとりで往来する一人…

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