川端龍子のこと(その2)

 『金色夜叉画譜・上』の川端昇太郎(龍子)のサインは、次のようなものだ。     何を表しているのだろう。  川端龍子の自伝『画人生涯筆一管』(1972年3月、東出版)によれば、龍子という号が一般的に認知されたのは、大正3年、大正博覧会に二曲半双屏風《観光客》を出品して、入選したときであるという。 自伝には、「雅号「龍子」の由来―父への抗議」という一節があり、次のよ…

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川端龍子のこと

 『金色夜叉画譜・上』で、もっとも新しさを感じさせるのは、川端昇太郎である。この頃は、まだ龍子となのっていない。  むろん、スケッチ画で知られていた太田三郎の絵は、職人的な線の運びが見事であるし、名取春仙は、「朝日新聞」の連載小説(夏目漱石『三四郎』、森田草平『煤煙』など)の挿絵で、筆書きの柔軟な線描を確立していた。川端には、それらに負けない感覚の新しさがある。  夜叉となった間貫一は、多色…

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