石橋臥波のこと 2023年06月25日 Theopotamos (Kamikawa)さんの記事「謎の民俗学研究者・石橋臥波が発行していた雑誌『民俗』を入手」で、高橋臥波の名を見て「へえ」と思う。 ユング、フロイトの受容や夢の研究に関心がある人には、石橋の名は『夢』の著者として知られている。わたしもその流れで石橋を知った。 『明治大正小品選』(2006年、おうふう)の解説で次のように書いたことがある。 夢と文学の関わりに注目し、古…続きを読む
煙突文学全集028 柳田國男『野鳥雑記』 2023年06月23日 柳田國男『野鳥雑記』、「鳥勧請の事」より。青空文庫による。 ポンソンビ・フェーヌ君は英国から遣って来て、もう二十年近くも日本の神道を研究している。この頃は鳥喰神事(引用者注-「とりばみのしんじ」のルビあり。)に深い興味を抱いて、書物で知っただけの場所は、片っ端から尋ねてあるいているということである。熱田神宮で行われる鳥食いの古式は、この春も拝観して来た。名古屋の南の郊外が煙突の林になって…続きを読む
煙突文学全集027 島崎藤村『家』 2023年06月22日 島崎藤村『家』「八」。青空文庫による。 「正太さん、君は女を見てこの節どんな風に考えるネ」「さあねえ――」「何だか僕は……女を見ると苦しく成って来る」 こう話し話し、三吉は正太と並んで、青物市場などのあたりから、浜町河岸の方へ歩いて行った。対岸には大きな煙突が立った。昔の深川風の町々は埋立地の陰に隠れた。正太は川向に住んだ時のことを思出すという風で、あの家へはよく榊がやって来て、壮に気焔を…続きを読む
予約図書受取ロッカー 2023年06月21日 最寄り駅に市の図書館の予約受取ロッカーができていた。 さっそくサイトで確認すると、オンラインで予約を入れる→本が確保される→受取ロッカーの使用申し出→手配完了メールの流れのようだ。 いま、利用が集中しているらしい。 ロッカーの隣には返却ポストがあるので、仕事持ちの人々は、駅ですべて用が足りる。 一度、使ってみよう。続きを読む
煙突文学全集026 萩原朔太郎「海豹」 2023年06月19日 今回から、作者作品名をタイトルに入れることにした。 『定本青猫』所収、萩原朔太郎「海豹」。 海豹 わたしは遠い田舍の方から海豹(引用者注-「あざらし」のルビあり)のやうに來たものです。わたしの國では麥が實り田畑(引用者注-「たはた」のルビあり)がいちめんにつながつてゐる。どこをほつつき歩いたところで猫の子いつぴき居るのでない。ひようひようといふ風にふかれて野山で口笛を吹いてる私だな…続きを読む
煙突文学全集025 2023年06月16日 吉川英治『折々の記』。青空文庫より。 毎朝、八時といふと、机の眞向うに見える製菓會社の煙突は、もくもく黒煙を吐き始める。そしてそのへんな人生サイクルがぼくの頭の中で過去へ逆廻りしてゆくのである。おそらく、品川の空の中でも高い方のこの煙突や濃度物凄い煤煙を、かう愛しみ懷しむごとく見る者は、ぼく一人にちがひないが、とにかく、朝な朝なのうちに、いつか煙突と机とは、ぼくの人生サイクルに妙な連鎖をもつか…続きを読む
「大正ロマン」について 2023年04月27日 竹久夢二の形容によく使われる「大正ロマン」という語について、石川佳子氏は、筒井清忠編『大正史講義【文化篇】』(2021年8月、ちくま新書)所収の「第13講 竹久夢二と宵待草」で次のように記している。 「大正」の再評価、そして夢二生誕九〇年の展覧会を機に評された「ロマン」の語も誘因となり、一九七〇年代より「大正ロマン」が少しずつ使われるようになる。 昭和五三年には、サントリー美術館で展覧会「大…続きを読む
図書館へ行った14 2023年04月21日 今日はいつもの大学図書館ではなく、居住市の図書館に予約していたものを取りに行った。 大学図書館にないものは居住市の図書館にあるという微妙なすみわけが少しわかるようになってきた。 3冊のうち1冊は、参照部分が限られているので、その場でコピー申請書を書いてコピーした。係員は枚数を確認していた。 金曜午前、来館者は多い。貸出冊数も多い。本は買わずに図書館でというユーザーがすごく多いのかもしれない…続きを読む
一條成美画集『新粧』 2023年04月20日 南陀楼綾繁さんが《日本の古本屋》のメールマガジンで《新潮社資料室 出版史を体現する資料に囲まれて【書庫拝見12】》という記事を書いていることをオタさんのツイートで知って、読んでみたらおもしろかった。 オタさんは、「新潮社資料室に幻の一條成美『新粧』(明治34年?)は存在するだろうか?」とツイートしている(午前11:03 · 2023年4月20日)。 もしかしたらあるかもしれない。『新潮社一〇…続きを読む