斎藤昌三と『月に吠える』

 斎藤昌三と創作版画誌『月映(つくはえ)』の関わりについては、過去記事で記した(《『月映』と斎藤昌三》)。  『月に吠える』の刊行事情についての斎藤の認識がうかがわれる文章がある。昭和10年1月刊行の『書淫行状記』(書物展望社)所収の「書痴漫録」である。 初出は、『文藝汎論』昭和9年9月号とある。「書痴漫録」の「詩歌書の発禁」という章に次のような記述がある。 大正六年二月、感情詩社から発行した…

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『學鐙』春号は、「特集夏目漱石」

『學鐙』春号は、「特集夏目漱石」。 『學鐙』も月刊から季刊に移行するようだ。この春号が、漱石特集であることを偶然知って、版元に注文した。多くの人が、見開き2頁でエッセイを書いている。2篇気にかかるものがあったので、紹介しつつ、思うところ述べてみたい。研究ノートのひとつだと考えていただければありがたい。        池端俊策「ドラマ「夏目漱石の妻」で書かなかった人物達」 まず、池端俊策氏の「ドラ…

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松尾少年が漱石に尋ねたこと

松尾少年が漱石に尋ねたこと                  木股知史 1 松尾少年への手紙  松尾寛一という十一歳の少年に宛てた大正3 年4 月24日付の夏目漱石の書簡が残っている。読者としての少年が、新聞小説『心』について質問してきたことへの返事である。まず全文を引用しておこう。*1  あの「心」という小説のなかにある先生という人はもう死んでしまひました、名前はありますがあなたが覚え…

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