夢二の代作をした東郷青児

 先日の記事《渋谷修と竹久夢二》で紹介した、渋谷修が『本の手帖』夢二特集、第一集(1962年1月、昭森社)に寄せた「竹久夢二と私」という文章には、東郷青児が夢二の代作をしたことが記されている。 夢二は留守がちで、港屋を守っていた夢二の妻たまきの願いに応じて、東郷が代作をおこなったという。 田中穣『心淋しき巨人東郷青児』(1983年4月、新潮社)という本を、下鴨古本まつりで購入した。著者は読売の美…

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古本まつりと墓参

 墓参のまえに、駆け足で下鴨納涼古本まつりへ。曇天であったが、蒸し暑い。 1時間ほどしかなかったので、ざっと見ただけ。 大きな古書市に行くときは方針を立てた方がいいと思った。たとえば、かみものと雑誌にしぼるとか。  もう秋の告知が。 萩を一輪発見した。 明後日は、もう、たにまち月一古書即売会である。

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渋谷修と竹久夢二

 古本との出会いによって、ずっと気にかけていたことの手がかりがつかめることがある。 書きものがすすまず、すでに夕刻であるが、阪神夏の古書ノ市に再度足を運ぶことにする。古本好きの人々が収穫をあげていることが刺激になったということもある。会場は初日に比べると落ち着いていて、じっくり見ることができた。 書苑よしむらのところで図録を見ていると、図録の判型、体裁ではあるが、著作らしきものが数冊並んでいるの…

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「凸版」と「着色木版」

 斎藤昌三『書痴の散歩』(昭和7年11月、書物展望社)を見ていると、「装幀界の追想」(初出、昭和4年11月、「商業美術月報」)に、「装釘も明治大正昭和と通じて、草双紙型からボール表紙、新大和綴から布装、革装と大体の変化を見、表紙の印刷も木版から石版、金版と進化し、今日に至つてゐる」云々という一節があるが、金属版、すなわち亜鉛凸版は「金版」とされている。読みは「かねはん」でいいのだろうか。 先日購…

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松本俊夫『修羅』再見

 見た。1971年に梅田のATGで見たのが初回。 HDマスターでブルーレイであるため、初見の際のザラザラ感はなくなっている。 自分のトラウマを追体験するので少しこわかったが、結果的にはいろんなことがわかった。 監督インタビューでは、最初のキャストは、市川染五郎(現、松本幸四郎)と若尾文子だったという。『ラマンチャの男』のロングランで変更を余儀なくされたという。中村賀津雄は、いってしまった感じで、…

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雑本の定義

 谷沢永一『執筆論 私はこうして本を書いてきた』(2006年、東洋経済新報社)を読んだ。2回目である。 目にとまったのが、「雑本の資料価値について」という一節である。書誌学の術語として「雑本」が認められていないと記したあと、「私が自分勝手に決めこんでいる雑本の定義を要約すれば、今までいかなる書籍目録にも記載されていない分類不可能に属する粗雑な書物、という工合に落ち着く」と述べている。 そのあと、…

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直貼りはダメよ!

 先日訪ねたblackbird booksでは、値段が付いてないと思ってよく見ると、裏見開きに、細長い価格を記した紙が引っかけてある。とってしまえば何の痕跡も残らない。きわめて合理的だが、手間はかかるに違いない。 値段シールとの格闘は、古本あるあるの定番話題だろうか。 うまくとれずに、カバーにはがれあとが付いたときのガッカリ感。一時期の BOでは、シールに切れ目が入っていて、がんばればうまくとれ…

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これはどこ?

 1900年頃の東京帝国大学図書館、学生閲覧室。 撮影は、小川一真。 コロタイプなので、奥行きが出ている。  意外と開放的で、書架はない。 食堂やカフェに通じているような気もする。 〔付記〕2017・8・12。出典は、小川一真『東京帝国大学』(1900年4月、小川写真製版所)。右手奥に、書架らしきものも見える。 夏目漱石『三四郎』の図書館の場面を青空文庫(底本は角川文庫)から引いておこう…

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文庫櫂から始めて

 午後に文庫櫂を訪ねる。水島爾保布『東海道五十三次』(大正9年、金尾文淵堂)、『日本名勝写生紀行 京都之巻』(明治43年、中西屋書店)。あと斎藤昌三の『書痴の散歩』(昭和7年、書物展望社)。 絵が10葉以上あれば絵入り本、絵が主体なら画譜とおおざっぱに区分するなら、上記の2著は、画譜といえるか。中西屋書店はしらなかった。このシリーズは5巻ぐらいあるそうだ。明治末から大正前期にかけての版の表現技法…

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山口昌男と吉本隆明

 阪神夏の古書ノ市でひろった、山口昌男対談集『知のルビコンを超えて』所収の、中川久定との対談「表層の知・深層の知」を読んだがおもしろかった。山口は「文化の中の知識人像」(初出1966年3月『思想』、ちくま学芸文庫『山口昌男コレクション』所収)で、聖職者的、道化的という二つの知識人タイプについてふれているが、発表当時、読者の反応はなかったという。 対談で山口は、ディスクールの既定の範囲から「つねに…

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谷崎潤一郎の啓明社版『飈風』のオビ

 天牛書店で購入した、谷崎潤一郎の啓明社版『飈風』(昭和25年6月)。かつて購入したが、オビはなかった。オビ付きはかなり珍しいと思うので、紹介しておきたい。 「谷崎潤一郎発禁作品集」と銘打たれている。 「文豪谷崎が嘗つて情熱の筆を駆し、発禁を受けた名作五篇を原形の儘収む」「飈風」「華魁」「恐怖時代」「亡友(未発表)」「美男(未発表)」「長年枉曲され、或は埋もれてゐた之等作品の正しき評価が、茲に初…

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阪神古書ノ市から始めて

 ゆかりの者と会う前に、阪神百貨店の古書ノ市をのぞく。女性経営の店が参加している。《本は人生のおやつ》では、明治本が出ていて食指を動かしたくなるが、密封されているので中の状態がわからない。剝がして中を見るのは気が引ける。店の棚を見に行くことにしよう。 女性経営店のひとつで山口昌男対談集『知のルビコンを超えて』(人文書院)をワンコインとちょっとで拾う。寄贈相手(?)の肖像マンガ入りで署名が入ってい…

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感じる科学

 暴風警報が出ているが、外仕事に向かう。少し早めに相手先の最寄り駅について、電話して、出勤されていることを確認。この時点で、雨は降っていない。 仕事を終えて、勤務先に向かう途中で雨につかまる。 外仕事を終えたあと駅で、さくら剛『感じる科学』(幻冬舎文庫)を購入。以前から、時々、ネットラジオの《さくら通信》を聞いていて、文庫化されたことを知ったのだ。自称、「六流作家」のさくら氏は、過剰なところがあ…

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松本俊夫の『修羅』

 偶然、松本俊夫の記念シンポの記事をあるブログで読んで、例の通販で検索すると、主要劇映画が、リマスター版で適価で出ている。 見られるかどうかわからないが、『修羅』を注文した。昔劇場で見たときは、ざらざらの手で目をこすられるような映画だった。見直しても同じように感じられるか、実験である。 実験映像集というのがほしいが高いし、なかなかない。 古本市で未開封ボックスが適価でおいてあるというようなことは…

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