藤島展から帰ってきて

 『中学世界』の表紙画。 たしかに、TF(藤島武二)のサインがある。 『はな』(川上瀧彌、森廣、明治36年、3版)も出てきた。展示のは紺色のものであった。

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藤島展に行く

 疲れているが、小磯記念美術館に藤島武二展を見に行く。 東京では図録完売だったらしいが、ちゃんとあった。 「グラフィックデザイナーの先駆者」という章がある。 雑誌『中学世界』の表紙をやっていたとは知らなかった。 《うつつ》は下絵に引きつけられる。指とか顔の線が明確だからだろうか。 《台南聖廟》の赤壁のタッチはすばらしい。 《神戸港の朝陽》は、ホイスラーを思い出す。これが「ジャポニスムの里帰り…

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古本日記 仕事終わりに2ヶ所は無理の巻

 これは25日の分の古本日記。 朝から仕事。一段落して、座業をして4時前。この時点で、あべのフープはあきらめる。見たい本があったので、大阪天満宮まで出て矢野書房に。おいしそうな餃子定食屋さんができているが、開店は月曜からとのこと。チェーン店系なのかなあ。 エンゼルも駄楽屋も目の端に見ながら時間がないので、矢野に直行。目当てのものは背に少し痛みがあったので断念。金尾文淵堂の『畿内見物 大和の巻』が…

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古本日記 電車がスーッとの巻

 これは24日の分の古本日記。 朝夕通院で、まんなかはもちろん仕事。夕方の通院が予想より早く終わり、時計は6時5分。どうしようか考えていると、神戸方面行きの電車が入ってきたので、よし六甲道へ。 口笛文庫へすべり込み。 この店では、ふだんの好みと少しずれたものが買いたくなる。 まず、平野威馬雄『枠外の人々』(昭和53年、白夜書房)。書名にひかれたのだが、「がいこつばなし」などおもしろい。  次に…

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夏目漱石『こころ』見返しについて

 別の目的で文献をしらべていたところ、漱石『こころ』の見返しについて言及している文献を見つけたので紹介しておきたい。 文献は、『宮城学院女子大学大学院人文学会誌』第15号(2014年3月31日発行)掲載の、「修士論文題目及び内容の要旨」畑山杏那「夏目漱石における服飾感情と服飾描写—思想との関係を中心に—」。 「『心』では見返し、『硝子戸の中』では表紙と見返しに更紗が採用されている」という指摘があ…

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新刊日記 最近のイメージ関連本

 草思社文庫、穂積和夫『絵で見る明治の東京』。291頁、浅草橋、柳橋の眺望はすばらしい。 女義太夫や活動写真館の内部風景も。 文春新書、浦上満『北斎漫画入門』。初刷りと増し刷りの版の状態の比較など。 角川新書、平松洋『最後の浮世絵師月岡芳年』。大判の図録もいいが、こうした小型本も便利。《うれしそう》では、ほたるを両手で包み込み、団扇を口にくわえている。

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古本日記 だんだんオタさんよりにの巻

 法要の帰途、通過点のなんばで天地書房による。芸能人の出待ちをしている若い人たちを通り過ぎて道具屋筋の入口に。 棚はけっこう変化している。ゆまに書房の『書誌書目シリーズ①高潮』がワンコイン。迷いなく抱える。しかし、同じシリーズでも別のは高い。なぜだろう。 じつは、ここに来る前に駅前天牛のある店で同じシリーズのおいしい巻が1200円均一で出ていたのだが、ゴキちゃんの喰いあとが多く断念したのであった…

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古本日記 今年最後のたにまち月いち古書即売会

 早く目覚め、家事をこなして今年最後のたにまち月いち古書即売会へ。大阪天満宮ー南森町で折り返した方がよいのに、大阪まで出てしまう。 開場3分前に、会館前に。初日出動は久しぶりのこと。先頭は、もちろん古本キングさん。入場して、隣同士になったときにあいさつ。オタさんとはたぶんすれちがい。 芥川『梅・馬・鶯』でちょっと散財。複刻版が出回っているのにどうして、と思われる方もあろうが、図版使用を考えるとオ…

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ヘボ画集

 過去記事《デモ画集》にアクセスがあったが、たぶん『ヘボ画集』(1912年7月、尚英堂、太田三郎、村田天籟、山田實、服部英郎)のほうに関心が向けられていたのだろう。 いま詳しく中身について記事は書けないが、書影をあげておきたい。 箱はめずらしいかもしれない。かわいい十二支の図。ロゴもいい。山田実の絵。 表紙。「あれえ、足食べられちゃった」という感じか。作者未確定。 裏表紙。魚の拡大図も。木版か?…

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古本日記 文庫櫂の棚が気になっての巻

 5時間近く立ち仕事で、その後、座業を1時間こなして、時計は3時前。昼食は抜き。 ジュンクの新刊見に行こうかと帰宅の道を歩くが、どうしても文庫櫂さんの「パンパン」になった棚が気になって、大阪まで出て、谷町線南森町乗り換えで恵美須町へ。 文字通り、本が詰まって引く抜くときに注意が必要。安価なものばかりだがおまけしてもらって満足。 前田夕暮『収穫』再版(明治43年10月、東雲堂書店)。初版は所持して…

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棚がパンパン状態

◇文庫櫂さんの棚が「パンパン状態」になっていると聞くとすぐにでも見に行きたい誘惑を感じるが、土曜までハードデイがつづくのでした。 ◇机上の本をどけるために、ワゴンを買うがでかいわりに収まる数は多くなく、ちょっとガッカリ状態。

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古本日記 宮川淳の遺著の巻

 家事をしてから、阪急で花隈に。西口を出て、となりの路地を折り返すとそこに神戸古書会館。日露戦争絵葉書2枚、値が上がっているのでたくさんは買えない。明治期の文芸誌『新文藝』明治34年7月号、1000円。『明星』と同時代だ。久保天随「赤門文士を評す」が、新声社と新詩社与謝野鉄幹の対立に触れている。 2階で、宮川淳『美術史とその言説』(中央公論社)。阿部良雄が企画した宮川の遺著だという。両者の往復書…

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新しい分かり方

 ふと、新刊書店の棚をながめると、となりの本とは距離を置いて、一冊の本がたてられていた。 『新しい分かり方』(中央公論新社)。佐藤雅彦の本で、奥付をみると9月に出ていたのだ。 この人の本は、だいたい全部購入している。 視点の変換、置き換えなど、特に新しいことが言われているわけではないが、この人の場合は、体験とのくっつき方がいつも語られていて、それがわたしをひきつける原因だと思う。 最後のエッセイ…

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口の中から蓮の花

 芥川龍之介に『沼』という小品があり、つぎのようなラストになっている。「おれ」は沼に身を投げる。 おれの丈よりも高い蘆が、その拍子に何かしゃべり立てた。水が呟く。藻が身ぶるひをする。あの蔦葛に掩はれた、枝蛙の鳴くあたりの木々さへ、一時はさも心配さうに吐息を洩らし合つたらしい。おれは石のやうに水底へ沈みながら、数限りもない青い焔が、目まぐるしくおれの身のまはりに飛びちがふやうな心もちがした。 …

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