『恋愛と文學』

 11日の報告の準備。肩がはってきたので、図版撮影とレジュメ作成を交互に行う。 図版は、新潮社明治34年3月、『恋愛と文学』。『新潮社100年図書総目録』では、佐藤儀助編となっているが、広告で上田敏としたものを見た記憶がある。それがみつからない。この頃こういうことが多い。メモをとらないので、まぼろしの記憶になってしまうのだ。 表紙は山中古洞。この人は古手だが、感覚におもしろいものがある。 折り込…

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ふつうの日記 とつぜんの鼻水

◇昨日の夜から、突然鼻水があふれ、資料を作成していたが、中断して眠ることとした。5日午前は休養。資料作成しているが、なかなかはかどらず。粗密の度合いをどうするかの判断がつかない。一般の人が聴いてわかりやすく、かつ専門的というのがいいが、なかなかうまくいかない。とにかく終わりまでラフを作ることにする。 ◇色彩というのは考えると不思議。客観的存在物ではなく、感覚につながっているもの。装飾的な色彩と…

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古本日記 コロタイプの見本見つけ偶然日記に至るの巻

◇前夜、報告のための文字資料を作りはじめたので、疲れが残っているが、2日目の兵庫古書倶楽部へ。元町から、花隈へはけっこう距離があるのだった。阪急とJR、どっちが北だっけと思いつつ歩くと到着。 女学校の教科書迷うがかわず。手彩色の絵はがき一点。博文館の『日露戦争写真画報』の明治37年と38年のものを3冊。石版と、コロタイプと写真網目版の見本として。いろんな画家が口絵の戦争画を描いているのだった。 …

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真夜中の補講 「学術書の翻訳って、どうやんの?」を聴いて

 キャスの中で、「史料はどうする」という問いかけがあったが、ちょっと感じたことを書きとめておきたい。 たぶん、翻訳の対象となっているのは、外国人研究者が英語で書いた日本史に関する研究であると推測する。その場合、ふつうの英書の翻訳とは違う苦労が生まれる可能性がある。 どういうことかというと、原著者は日本語の文献、史料をもちいてそれを英語に訳しているわけだ。それを日本語に翻訳する場合、単純に英訳して…

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一條成美と『新声』

 さて、小報告のためいろいろ調べていると、いろいろ分かってくる。 一條成美は、『明星』が四六倍判の雑誌形式になった第6号(明治33年9月)の表紙をデザインしている。例の百合の花を嗅ぐヌードの女性像である。この号には挿絵は《牛》という写実的な作品が載るばかりだが、次の7号には多くの少女像が掲載される。 『明星』を離れた一條成美は、『新声』で活躍する。 この間の事情について、『新声』を発行し、のち新…

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まんがの色彩学

 下記催しの2日目(3月11日)にちょこっと出ます。 「版」はprintだけれど、たしかにlayer(層)の重なりとも見ることができる。  自宅の本を発掘していると、浮世絵の摺り手順の英書などでてくる。誰かが言っていたけれど、買った本は忘れるが、買い損ねた本は覚えている、ということか。  一條成美の画集『新粧』(新潮社)は、佐藤義亮の『出版おもいで話』によると、かたみとして刊行されたとある。…

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文士の書斎 モダン系 石橋思案

 今日は、モダン系の石橋思案を紹介しよう。『文藝倶楽部』臨時増刊『ひと昔』明治37年1月、博文館。『ひと昔』というのは、創刊10年を記念しての言葉である。 なにやら洋酒のビンが並んでいる。 武田桜桃「文士と其書斎」によると、石橋思案の書斎は「自劣亭」(じれってい)。 桜桃は書いている。有楽町は市街電気鉄道の右側、天照太神宮の御社のある辺り、奥深い路地の彼方に、石橋と記した街燈が出て居て、玄関から…

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今回は分かった

 清家雪子『月に吠えらんねえ8』。表紙は、朔太郎と芥川龍之介。 さて、カバーを剝がしてみると。 今回はわかったよ。芥川が出てくるから。 これだ。『西方の人』(昭和4年)、装幀、小穴隆一。 読んだが、けっこう疲れた。

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文豪の書斎 座卓派 広津柳浪

 今日は、座卓派の広津柳浪を紹介しよう。『文藝倶楽部』臨時増刊『ひと昔』明治37年1月、博文館。『ひと昔』というのは、創刊10年を記念しての言葉である。 ゆがみを出さないため、今日はスキャンした画像である。 武田桜桃「文士と其書斎」によると、肖像画は、学生時代の尾崎紅葉であるという。 柳浪宅は、「麻布桜田の高台、目白附近」にあるという。 玄関は瀟洒にできていて、「茶人の家としか思へない程洒落て居…

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古本日記 逃した魚に再会の巻

 報知器の検査があるので、午後待っていると、意外に早く来て、おわったのが15時前だ。 思い立って、西宮大谷美術館の「藤田嗣治 本のしごと」展の最終日に向かうことに。 阪神香櫨園から徒歩10分。最終日ゆえか盛況である。藤田はそんなに好きではないが、展示は充実していた。 フランス語版の『芸者のうた』のジャポニスムや、東京日日、大阪毎日掲載の横光利一の『旅愁』挿絵に心が動く。 『旅愁』挿絵は、個人蔵の…

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古本日記 鶴舞に古本が舞うの巻

 24日は、朝早く起きて、名古屋に向かう。もちろん、鶴舞の名古屋古書会館である。 東京よりはずっと楽である。交通費が半額ならいうことないのだが。新幹線通路側の席で居眠りしているうちに、到着。JR鶴舞から徒歩で古書会館へ。 少しばかり見ているうちにからぶりかな、という気分になったが、あじさいさんのところで、いいものが見つかった。 小宮豊隆『黄金蟲』(小山書店、昭和8年)。装幀が木下杢太郎。木版がう…

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文豪の書斎 洋風派 巖谷小波

 今日は、洋風書斎の巖谷小波を紹介しよう。『文藝倶楽部』臨時増刊『ひと昔』明治37年1月、博文館。『ひと昔』というのは、創刊10年を記念しての言葉である。 なかなかの美男子である。下の写真の「息三一子」というのは、当時、息子が3人いて、そのうちのひとりという意味であろうか。 机に椅子というスタイルである。 武田桜桃「文士と其書斎」によると、小波は、自宅を「唯想楼」(いそうろう)と呼んでいたという…

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文豪の書斎 簡素系 幸田露伴

 さて、今日も「文藝倶楽部」臨時増刊「ひと昔」(明治37年1月、博文館)より、文豪の書斎紹介。 幸田露伴。明かり障子に向かって文机を置き、その脇に積まれた4、5冊の本。本棚を人目にさらしたりはしない。簡素系である。それもそのはず、これは夏の書斎で冬は応接間兼用なのである。どこか、別の居室(冬の書斎)に本がうなっているのだろう。 女子は、長女歌か。幸田文は、明治37年に生まれている。 思えば、明…

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文豪の書斎 乱雑系の山田美妙

 『文藝倶楽部』定期増刊『ひと昔』10巻2号、明治37年1月、博文館。 山田美妙の書斎。 そばにいるのは子息。 棚の上に、平積み。または、敷物を敷いた畳の上に乱雑に本が置かれている。 上が「書斎」下が「令息」。 下は、美妙が執筆しているところをこどもがのぞき込んでいる体。 本は乱雑に散らかっている。美妙は無頼派なの? 書斎には額が多くかけられている。一つだけが人物で、あとは風景か。写真か絵画か判…

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古本日記 水都でずばり団扇女子の巻

 定時退勤、淀屋橋中央公会堂の水の都の古本展にむかう。この古書市は好きである。場所になじみがあるし、建物がいい。80年代から90年代初頭は、中央図書館に通ったものだ。桜橋の方へ歩いて行くのも好きだ。 さて、通勤帰りの人で混んでいるかと思いきや、さにあらず、人は少なくゆっくり見ることができた。モズブックスの絵はがきと明治雑誌をじっくり見る。絵はがきを「シャカシャカ」していると車酔いと同じような状態…

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