漱石の三四郎日記

2018/04/05 21:39
 文庫櫂さんで、山本春雄『漱石の三四郎日記』(大正9年7月、現代社)の箱付きが出ていてもう売れたようだ。 わたしはすでにFさんで購入していたが、奈良の柘榴ノ国でも見たことがある。けっこう売れたのだろうか。 その後の三四郎の一人称の日記体で、三四郎は就活に励んでいる。  おもしろいのは、『金色夜叉』を踏まえていることで、美禰子が、三四郎が不在の際にあやまりに来たり、夢に出たりする。 鴫沢宮が間貫一をすてたように、美禰子も三四郎をすて、後悔しているという見立てである。  意志..

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官能的! グルーズと『三四郎』

2018/02/17 10:15
 漱石の『三四郎』に、美学の先生からグルーズの絵を教えられる場面がある。二、三日まえ三四郎は美学の教師からグルーズの絵を見せてもらった。その時美学の教師が、この人のかいた女の肖像はことごとくヴォラプチュアスな表情に富んでいると説明した。ヴォラプチュアス! 池の女のこの時の目つきを形容するにはこれよりほかに言葉がない。何か訴えている。艶なるあるものを訴えている。そうしてまさしく官能に訴えている。けれども官能の骨をとおして髄に徹する訴え方である。甘いものに堪えうる程度をこえて、激..

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雑誌の漱石特集ふたつ

2017/12/22 08:06
 『熱風』12月号が、特集「新宿区立漱石山房記念館開館記念 夏目漱石をめぐって 対談半藤一利×宮崎駿」。これは堂島アバンザのジュンク堂で無料でおいてあった記憶あり。  もうひとつは『APIED 30 』特集「101 夏目漱石」。700円。三月書房では扱っている。 藤井祐介「草野柴二とその時代」で、草野柴二が漱石門下の若杉(能勢)三郎であることを知った。モリエール全集で発禁をくらっている。ルービン『風俗壊乱』も引用している。

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夏目漱石『こころ』見返しについて

2017/11/23 23:23
 別の目的で文献をしらべていたところ、漱石『こころ』の見返しについて言及している文献を見つけたので紹介しておきたい。 文献は、『宮城学院女子大学大学院人文学会誌』第15号(2014年3月31日発行)掲載の、「修士論文題目及び内容の要旨」畑山杏那「夏目漱石における服飾感情と服飾描写—思想との関係を中心に—」。 「『心』では見返し、『硝子戸の中』では表紙と見返しに更紗が採用されている」という指摘がある。『心』見返しの場合は、「古渡更紗風の創作更紗模様」と考えられている。『硝子戸の..

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わすれ団扇

2017/08/21 18:16
 竹久夢二に《わすれうちわ》という作品があって、お葉をモデルにしている。垣の前に立つ女性が団扇をあごのあたりにかざしている。 今でも木版が販売されている(たとえばここ)。「わすれ団扇」という題は、いわゆる秋扇、夏が終わったあとの団扇のことだ。用済みになったという意味が含まれている。 今橋理子『兎とかたちの日本文化』(2013年9月、東京大学出版会)は、上村松園《待月》という絵について、おもしろい鑑賞を示している。 《待月》は1926年の作品で、柱ごしに団扇を持って欄干に寄りか..

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夏目伸六『父の法要』

2017/08/20 16:17
 先日購入した夏目伸六『父の法要』(1962年、新潮社)からメモしておこう。 「いんちき夫婦」。初出は朝日新聞らしいが年月日不詳。新橋で「夏目」という「呑み屋」をやっていた。松山中学出身という客がやってきてからまれる。中学赴任が同窓会誌では明治38年と誤植されていて、ただしく、28年と言ったところがかえっていんちきだと思われるという話。  「銀流し」も同趣向。〇〇新聞の論説新聞だという男が来て、子供時分に伸六の姉筆子と遊んだことがあるというウソを言う。  「漱石とスポーツ..

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