官能的! グルーズと『三四郎』

2018/02/17 10:15
 漱石の『三四郎』に、美学の先生からグルーズの絵を教えられる場面がある。二、三日まえ三四郎は美学の教師からグルーズの絵を見せてもらった。その時美学の教師が、この人のかいた女の肖像はことごとくヴォラプチュアスな表情に富んでいると説明した。ヴォラプチュアス! 池の女のこの時の目つきを形容するにはこれよりほかに言葉がない。何か訴えている。艶なるあるものを訴えている。そうしてまさしく官能に訴えている。けれども官能の骨をとおして髄に徹する訴え方である。甘いものに堪えうる程度をこえて、激..

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あれとこれ 睫毛(まつげ)の東西

2018/01/28 20:13
 昨日、江坂天牛書店で買い求めた絵葉書は、雑誌『ガゼット・デュ・ボントン』(1914年)にジョルジュ・バルビエが描いたものである。 気になったのは、睫毛の表現である。1914年にはつけまつげがあったのかなかったのか。 伏せ眼になると、女性の睫毛が目立つという描写は、西洋小説に多かったと思う。 まさに、伏目がちで目立つ睫毛である。 歌麿の浮世絵には、睫毛の表現はない。いつごろから出てくるのか。夢二は睫毛を描いている。 漱石の『それから』のヒロイン三千代には、睫毛の描写がある。漱..

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ヘボ画集

2017/11/16 08:52
 過去記事《デモ画集》にアクセスがあったが、たぶん『ヘボ画集』(1912年7月、尚英堂、太田三郎、村田天籟、山田實、服部英郎)のほうに関心が向けられていたのだろう。 いま詳しく中身について記事は書けないが、書影をあげておきたい。 箱はめずらしいかもしれない。かわいい十二支の図。ロゴもいい。山田実の絵。 表紙。「あれえ、足食べられちゃった」という感じか。作者未確定。 裏表紙。魚の拡大図も。木版か? 背。 村田天籟は、通俗的な男女交際論など出版している。序文としてヘボ論を寄せてい..

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小村雪岱、お蔵だし

2017/10/19 16:58
 勢いで購入したが、使いこなせない資料がある。新聞小説の切り抜きであるが、『纏女房』という作品がわからない。国会図書館で検索すると、1948年版の駿台書房の『纏女房』が出てくる。邦枝完二の作品なのだが、『喧嘩鳶』と言う作品との関わりも気になる。五流研究者の手に余るので、使いこなせる方に譲りたいと思っている。 新聞、雑誌連載小説の切り抜きを作るときは、本文も一緒にお願いしたいと、切に思うのであった。

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青木嵩山堂の本

2017/10/16 18:44
 ツイートで複数の情報を見かけて、電話で東京堂書店神保町店に連絡し、通販で送ってもらう。送料、代引き手数料で高くなるが、アマゾンでは現在品切れで、ネット検索しても、大阪で置いているところは限られているので、すぐ読めることを第一に考えた。 その本は、青木育志、青木俊造著『青木嵩山堂 明治期の総合出版社』(アジア・ユーラシア総合研究所)。持っている本を調べたが、青木嵩山堂(あおきすうざんどう)の本は架蔵していない。 出版物一覧がついているのはありがたい。江見水蔭の本が多い。本文で..

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「凸版」と「着色木版」

2017/08/14 11:31
 斎藤昌三『書痴の散歩』(昭和7年11月、書物展望社)を見ていると、「装幀界の追想」(初出、昭和4年11月、「商業美術月報」)に、「装釘も明治大正昭和と通じて、草双紙型からボール表紙、新大和綴から布装、革装と大体の変化を見、表紙の印刷も木版から石版、金版と進化し、今日に至つてゐる」云々という一節があるが、金属版、すなわち亜鉛凸版は「金版」とされている。読みは「かねはん」でいいのだろうか。 先日購入した水島爾保布『東海道五十三次』(大正9年3月、金尾文淵堂)は、金属版と色刷り木..

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