斎藤昌三と『月に吠える』

2017/09/16 06:59
 斎藤昌三と創作版画誌『月映(つくはえ)』の関わりについては、過去記事で記した(《『月映』と斎藤昌三》)。  『月に吠える』の刊行事情についての斎藤の認識がうかがわれる文章がある。昭和10年1月刊行の『書淫行状記』(書物展望社)所収の「書痴漫録」である。 初出は、『文藝汎論』昭和9年9月号とある。「書痴漫録」の「詩歌書の発禁」という章に次のような記述がある。 大正六年二月、感情詩社から発行した萩原朔太郎の詩集『月に吠える』は内容としても、田中恭吉の挿絵としても詩壇の名品であ..

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「社会」という言葉が使えない

2017/06/21 23:34
 1910年の大逆事件以後、著作等の発売禁止が続いて、〈冬の時代〉と呼ばれたことは周知のとおり。 石川啄木の「日本無政府主義者陰謀事件經過及び附帶現象」には、下記のような一節があり、ファーブルの『昆虫記』の翻訳と推察される『昆蟲社会』という本が禁止されたという記述は記憶に残っている。 同年九月六日この日安寧秩序を紊亂するものとして社會主義書類五種發賣を禁止せられ、且つ殘本を差押へられたり。爾後約半月の間、殆ど毎日數種、時に十數種の發賣禁止を見、全國各書肆、古本屋、貸本屋は何..

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