エミール・オルリクのこと

2017/10/15 12:57
 『太陽』の増刊「明治大正の文化」(33巻8号、昭和2年6月、博文館)には、菅原教造「版画発達史」という文章が収められており、なかにつぎのような記述がある。墺地利のオルリックは、画家として、舞台装置家として、又独逸の小泉八雲の作品の挿絵画家として知られてゐる。彼は神田和泉町の小柴で技巧を研究して、新錦絵や石版画を描いた。同じく墺地利の画家カペルリーは京橋五郎兵衛町の渡邊で技巧を修得してやはり新錦絵を描いた。中でも黒猫を抱いた待合の芸者を主題としたものに面白いものがある。その他..

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「凸版」と「着色木版」

2017/08/14 11:31
 斎藤昌三『書痴の散歩』(昭和7年11月、書物展望社)を見ていると、「装幀界の追想」(初出、昭和4年11月、「商業美術月報」)に、「装釘も明治大正昭和と通じて、草双紙型からボール表紙、新大和綴から布装、革装と大体の変化を見、表紙の印刷も木版から石版、金版と進化し、今日に至つてゐる」云々という一節があるが、金属版、すなわち亜鉛凸版は「金版」とされている。読みは「かねはん」でいいのだろうか。 先日購入した水島爾保布『東海道五十三次』(大正9年3月、金尾文淵堂)は、金属版と色刷り木..

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あれとこれ 木版と石版

2017/06/13 00:08
 はじめて手にしたオリジナルの『明星』は、明治37年1月号。日本の古本屋のサイトができてまもないころ、まだ検索に制限がなく、平凡出版の芸能誌『明星』ばかりが際限なくでてきて、まいったが、あきらめずにつづけていると、青森の古本屋さんで、この号が見つかったのである。価格は2700円だったと記憶する。 それまでは、臨川書店版の複刻版の図版をコピーして、ファイルに分類していたが、印刷の本当の状態はオリジナルを見ないと分からないと痛感していた。 届いたものは、外部の保存はよいとはいえな..

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色刷り木版の版面 つづき

2017/04/16 00:00
博文館『文藝倶楽部』第7巻15号、明治34年11月。『明星』が西洋美術の若手を使って、誌面に新味を出そうとしていた時期である。 表紙は、山中古洞《冬木立》。目次によれば、「精彩石版画」である。 口絵は、梶田半古《仙錦亭》。目次によれば、遅塚麗水の小説「仙錦亭」の口絵で、「精彩木版画」である。髷の部分を拡大してみよう。  少しわかりにくいが、地の黒の上に、髪の線を示す黒が重ねられている。 ヒロインの着物の前に、木の枝が伸びている。その部分を拡大してみよう。  色の重なりにつ..

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伝統的な多色木版の版面

2017/04/10 00:07
先日買った、国貞・種彦の『明烏 八編上』の表紙。いつの刷りかはわからない。顔のアップ。方向は少し変えてある。 髪の生え際に特徴が出ている。 刀を持つ手元のアップ。線と色面が区別されている。 色面の規則性のない、なんというか、モコモコした感触が木版の特徴である。もう少し、適切に描写できるようにならないといけないが。

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石版のずれ

2017/03/13 19:52
日露戦争期の絵はがき。明治38年。見ていただきたいのは、石版印刷のずれである。多色石版で色を重ねているが、「逓歩哨」の持つ銃身はずれている。石版の特徴が緑色の部分などよく出ている。 日露戦争関連の絵はがきをたくさん集めると『絵はがきから見た日露戦争』が書けるかもしれない。もうあるの?

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