壁に肖像を掲げる

2017/09/17 17:18
 前にちょっと書いたけれど、壁に肖像画や写真を掲げる様子が描かれている荒畑寒村の小説がわかった。『逃避者』である。引用は、伏字だらけの『光を掲ぐる者』(大正12年4月、東雲堂書店)による。20数名の同志が集まって、大逆事件後の冬の時代の中で、どのように運動をすすめるかについて議論をする小説である。 次のように、部屋の様子が描写されている。 卓の上には何の装飾も無く、背後の床の間にはKーーが獄中絶吟の一軸がかゝつて、洋書のギツシリ詰つてゐる本箱が幾つか並び、壁の上にかけ並べた▢..

続きを読む

ピンのあと

2017/09/06 00:44
 満谷国四郎《二階》。「文部省第四回美術展覧会出品」とある。 1910年の文展の出品作である。 団扇をもった女性像は見るたびに集めているが、今回は穴のあとが気になった。 いたずらであけられたのか、あるいは、どこかに貼られていたのか。 押しピンの発明はいつ頃なのだろう。  記憶が曖昧だが、荒畑寒村の小説に、壁に革命家の写真を貼っているという場面があったように思う。

続きを読む

戦争と美人絵はがき(その2)

2017/06/30 12:11
 じつは、美人絵はがきは戦争と深い関わりがあり、兵士慰問のために使われたということは、過去記事《戦争と美人絵はがき》で書いた。 先日、入手した宮武外骨の雑誌『スコブル』大正7年6月号を見ていると、「松の里人」名義で「美人絵葉書で敵軍を全滅す」という記事が出ている。 第一次世界大戦での出来事と思われるが、英国、ドイツの兵士とも、美人絵はがきを塹壕生活の慰安としていた。塹壕を占領するとその壁に飾られていた絵はがきの争奪が始まる。ここに目をつけたドイツ参謀部は、絵はがきに触れると爆..

続きを読む

戦争と美人絵はがき

2017/02/24 00:20
使用済みの絵はがきの持つ意味について、実物を購入して初めて納得することがあった。これは一目見て、あの有名な洗い髪のお妻だとわかった。 征露第二年とあるので、明治38年である。築港を出たとあるので、大阪から出征したのであろう。はがきの下に「三都百美人 其卅一」とある。お妻は、髪結いが間に合わず、洗い髪のまま写真撮影に臨むしかなかったが、それがかえって人気を呼んだのである。津田青楓『漱石と十弟子』(2015年1月、芸艸堂、元版は1974年、初刊は1949年世界文庫)には、「百鬼園..

続きを読む

もっと見る