『摂陽随筆』装幀について

2017/02/26 12:54
かつて、谷崎潤一郎『摂陽随筆』の装幀について、《和のアヴァンギャルド?》という記事を書いた。このたび、谷崎潤一郎記念館編の『芦屋市立谷崎潤一郎記念館資料集(二)雨宮庸藏宛谷崎潤一郎書簡』(平成8年10月)を入手した。関連する情報を補足しておきたい。書簡番号29、『昭和九年(年代推定)十一月十二日 封書(封筒欠)」。 扨次の随筆集「東京をおもふ」よりは「摂陽随筆」と云ふ題の方が宜敷と存じ左様に決定し、別紙の通り原稿及び装幀見本御送り申上候(中略)編入の順序、組み方等は一切装幀..

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『谷崎潤一郎讀本』

2016/12/27 22:48
◇翰林書房から、五味渕典嗣・日高佳紀編『谷崎潤一郎讀本』が出た。今日は、まだ書店店頭には出ていなかった。編者は40代で、文献実証にも、理論にも関心があるので、近代日本文学研究の現況を多角的によく示す内容になっている。執筆者一覧は、谷崎潤一郎研究会のここに出ている。漱石なら、研究の手垢がつきすぎて、こんな編集はむずかしかったかもしれない、と思う。わたしも寄稿した。谷崎潤一郎を描くというテーマで、最初は総覧的に書くか、個別研究を示すか迷ったが、後者にした。小村雪岱装幀の新潮社版『..

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谷崎潤一郎のたまごかけごはん

2016/10/10 00:02
 長田幹彦と連れ立って、谷崎が奈良に行った時のこと。  空腹を覚えて、谷崎は、東大寺転害門のそばの、掛け茶屋に入って、そこのばあさんに米はないかと尋ねる。  おばあさんは、あるけれど「どないにおしやすの」と聞いてくる。谷崎は、「米があったら、大急ぎで飯を炊いてくれないか」と談判し、「卵はあるか」と聞く。  おばあさんは耳が遠く、時間がかかったが、七輪でお釜の飯を炊いてくれる。  炊き上がったら、熱い飯を茶碗に盛ってもらい、生卵をぶっかけて、ふうふう言いながら食べる。い..

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谷崎潤一郎とクロソウスキー

2016/07/12 12:59
 谷崎『鍵』とクロソウスキー『ロベルトは今夜』との相似は、前にも書いた通り、渡辺千萬子の書簡に書かれているのだが、他に言及している文献を見つけたので、メモしておこう。  一昨日、S堂で購入した『シンポジウム日本文学16 谷崎潤一郎』(学生社、昭和51年1月)。対談本で、司会は野口武彦、出席者は大久保典夫、笠原伸夫、出口裕弘、野村尚吾。  160〜162ページ。野口は、制作は『鍵』が早く、似ている、と発言。出口はクロソウスキーにある神の問題は『鍵』にはないと応じている。野口..

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『谷崎潤一郎 人と作品』

2016/07/10 19:34
 書きものの準備に疲れ果て、S堂に向かうことにする。春に訪ねたのに、一層密林のごとく、本が積み上げられている。いくつか、拾うものがあった。 『谷崎潤一郎 人と作品』(昭和41年、清水書院)。100円。  この清水書院のセンチュリーブックスという評伝シリーズは、高校の図書館などに並んでいた。  福田清人と連名だが、実際は、平山城児の著書である。この本は今は絶版である。「人と思想」という思想家中心のシリーズが出ている。若手が書くので、力が入っている場合が多..

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戯曲『鵙屋春琴』

2016/06/19 16:02
 扉には、新劇座上演脚本とある、谷崎潤一郎作、久保田万太郎脚色『鵙屋春琴』(昭和10年8月、劇と評論社)という本を見る機会があった。中央公論社版『久保田万太郎全集 第8巻』に収録されているようなのでそれほど珍しいものではないだろう。ウェブ上に公開されている、久保田全集の総目次では、初出は、「鵙屋春琴【谷崎潤一郎原作『春琴抄』】(昭和9年6月、『春琴抄』としてその1を「文芸」に。昭和10年6月、『鵙屋春琴』としてその3まで。さらに同年9月、『鵙屋春琴後日』としてその4を「三田文..

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